223:名無しNIPPER[saga]
2016/08/24(水) 21:06:38.70 ID:H5SsrYQnO
チヨの横顔は、相変わらず真っ赤だった。
が、その表情は緊張したものではなく、ただ顔が冷めるのを待っているだけの、
普通の表情に見えた。
重苦しい……ことはない。
なんというか、不思議な雰囲気。
……テストが全て終わった後の教室、というか、終業式の後の学校、というか。透明感。
隣から、控えめに深呼吸している音が聞こえてくる。
「……ありがとう」
しっかり聞きとれる声。
今度は小さくはなかった。
たぶん、俺に向けてくれた言葉。
間違ってなかった、ということがわかって、俺も安心する。
なぜか俺からも「ありがとう」と言っていた。
二人で少し笑う。
しばらくして、みんなが砂浜から引き上げてくる。
線香花火の準備をしていたので、ハルを呼び止める。
「なに?」
「さっきの話。チヨに聞いた」
「……マジ?」
ハルは珍しく本気で驚いていた。
話して良いのか迷って、チヨの方をちらりと見る。
チヨは、少し口の端を上げて、こくんと頷いた。
簡単に説明する。
言葉にすればほんの一言だ。
「……みんなには、内緒、ね?」
そのうち、言うかもしれないけどね、とチヨは笑いながら頬をかいた。
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