270:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:22:26.02 ID:qsBzmbI/0
「その、もし、よければ、付き合って、くれませんか……?」
コヨミちゃんの声は、いつもより明らかに小さかった。敬語もちょっとおかしい。
緊張しているのか、声が震えている。
俺は、返事を、
「…………」
返事を、なんと返したらいいのか、わからない。
何かを言いかけて、口を閉じてしまう。
コヨミちゃんは下に俯いてしまった。
花火が鳴る。
綺麗な火花を散らして消えていく。
俺は花火を見ていた。
コヨミちゃんはたぶん、俺の返事を待っている。
俺は今、返事をしなければいけない。
けど。 けれど。
どうしよう。
付き合ってください、と言われて。
返事をし辛いのは、返事を悩んでいるのは、きっと、
俺は自分の答えがわかっているから。
俺はたぶん、コヨミちゃんのことをそう言う意味で、
好きなわけでは、ないのだろう。
ーー嫌いではない。
話していて楽しいし、数少ない後輩でもある。
でも、付き合うのは違う。
逆に、仮に付き合ってしまうと、コヨミちゃんを変に期待させてしまうだけかもしれないし、それはコヨミちゃんにとっても、
……いや、これは言い訳だ。
この後に及んで上からものを考えようとしている自分に、腹が立った。
また、大きい花火が響く。
コヨミちゃんは下を見ている。たぶん、花火は視界に入っていない。
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