288:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:23:48.61 ID:ilA7zgD60
みんながドリンクバーに行っている間、なんとなく立ち上がる気にならなくて、テーブル席の奥に座っていると、
なーちゃんがジュースを持ってきてくれた。
ホワイトソーダの炭酸をカルピスで薄めたやつ。
なーちゃんもチヨに似て、周りをよく見てるんだな、と思った。
みんながぞろぞろと戻ってくる。
ハルが普通の色のジュースを飲んでいるのが、なんだか違和感だった。
ポテトが運ばれてきて、みんなでちょっとずつつつく。
「フライドポテトってさ」
「はい」
「かつて空を飛んでいたじゃがいも、って意味にもなるよね」
「なりませんよ」
思ったりより暗い雰囲気ではなくて、いつも通りのテンションで、いつも通り、だらだらと駄弁っていた。
俺もジュースを啜りながら、中身のない話を聴く。
隣に座っているイチが、湯気の立っているいちごオレを一口飲んで、
「あちっ」
とカップを離した。
「氷入れてくれば?」
「そうする」
不思議と、ムギちゃんが帰ったからといって、穴が空いたように寂しい、ということはなかった。
いや、寂しくないといえば嘘になるけど、落ち込んで何も手がつけられない、なんてことはない。
……ただ、前までとは、少し違う雰囲気ではあった。
やっぱり、いつまでも同じ雰囲気ではいられないんだな、と、小さく溜息をついた。
隣にイチが戻ってくる。安心。
「味薄い」
「そうなるのか」
「やっぱ普通が一番だね」
「うん」
俺は答えた。
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