8:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:34:10.21 ID:cSUEPfQ20
「遅かったね、何してたの?」
「校内に迷い込んでしまったカナブンを窓の外に出していました」
ナナコは不思議な人だ。
「なっちゃん虫嫌いじゃなかったっけ?」
「嫌いですよ」
「どうやって出したんだ……?」
「ちりとりと小箒で頑張りました」
「頑張ったねー」
ナナコは不思議な人だ。
ナナコは、同じ部活の、同学年。二年生。が、あまりにも身長が低いのと、その口調のせいで、いまでもよく一年生と間違われる。前にそのことを言ったら、
「好きなアーティストと同じ152cmなので、満足です」と言いながらそっぽを向いた。少しは気にしているらしかった。それ以降は言わないようにしている。
ナナコは背伸びをして、肩からかけた荷物を机の上に置いた。入り口近くの、後ろの列。俺と線対称の位置。
カバンは床に置きたくないタイプ。ストラップが汚れるのが嫌らしい。
「ところで、お二人は何をしていたのですか?」
「何もしてなかったね」
「何もしてなかったな」
二人で声を揃えてそう言う。本当に何もしていなかった。強いて言うなら、イチの高校生のうちにしておきたいことランキング第158位を聞いた。
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