9:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:35:39.78 ID:cSUEPfQ20
「そうですか」
少しつまらなさそうにカバンから水筒を取り出すと、ナナコは湯気が立つお茶を一口飲んだ。
10:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:36:48.50 ID:cSUEPfQ20
趣味なんてみんなバラバラだし、クラスも違う。共通の友達は部活のメンバーくらい。
そもそもこの部活には、ここにいる三人と、あと三人しかいない。
窓からささやかな風が流れてくる。初夏の緑の匂い。
11:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:39:33.27 ID:cSUEPfQ20
「『右は正直村?』?」
「違う」
12:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:41:03.24 ID:cSUEPfQ20
窓の外に目をやると、まだ日は高いようだった。最近は日が沈むのも遅くなってきている。もうすぐ夏だ。
「……あ、いま何時?」
不意に、イチが口を開く。
13:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:42:24.17 ID:cSUEPfQ20
しかし、部長の居場所と言っても、どこにいるのか検討もつかない。
イチもナナコも部長も、基本会う時は部室。三人とも文系棟だから、俺とは教室も遠いし。
俺と同じ理系棟には、理数科のチヨがいる。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:43:39.12 ID:cSUEPfQ20
渡り廊下に続く扉を開けると、ひんやりとした鉄の感触が手のひらに伝わってくる。
扉を開けると、顔に風が吹いてきて、少し目を細めた。
ここ、三階の渡り廊下は、青空天井となっている。つまりは天井がない。
15:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:45:15.38 ID:cSUEPfQ20
「こなたは喉が渇きました」
「そりゃ、こんな風の強いところにいたらね」
16:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:46:41.39 ID:cSUEPfQ20
理数科の教室には、こなたの言う通り、チヨがいた。
チヨはこちらに気がつくと、「あ……」と呟いて、驚いたように固まった。教室には、チヨ以外誰もいない。
チヨも、イチやナナコと同じく、同じ部活で、さっきも言ったように、二年生の理数科クラス。
17:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:48:42.73 ID:cSUEPfQ20
「そうそう、部長見てない?」
「部長?」
「うん、なんか鍵は開いてんのに部室にいなくてさ」
18:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:49:35.10 ID:cSUEPfQ20
「チヨが知らないってことは、部長は完全に行方知らずか……」
「ご、ごめんね……?」
いやだから謝ることじゃないって。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:50:48.43 ID:cSUEPfQ20
渡り廊下を通った時には、こなたはいなかった。もう帰ったのだろうか。
文系棟に続く扉を開けると、屋内の方がちょっぴり涼しくて驚いた。
空調は付いていないのに。
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