6: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/21(日) 23:44:38.71 ID:Aj1Xs5gP0
「なら、わたしがわたしに向けて意味のない文章を書くことは可能……」
「それもまた難しいと思います。ある瞬間においては可能ですが、恒常的に『意味のない文章』であることは、時間の経過を無視しなくてはなりません」
申し訳なさそうに無理を言うモリィ。不満のひとつでも表明しようかと思ったけれど、わたしが好きで老いているわけではないように、モリィもまた好きで不変なわけではないのだ。さすがに八つ当たりはかわいそうだろう。
7: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/21(日) 23:45:54.33 ID:Aj1Xs5gP0
人工知能は不変だ。ならば、人工知能にとって意味のない文章は恒常的に『意味のない文章』たり得る。もちろん実際に書き上げられればの話にはなる。でも、モリィにとって意味のないことを意味あり気に書くことはできそうな気もする。
そんなわたしの思惑を見抜いてか、モリィは即答する。
「不可能です。モリィにとって人間の事柄は全て意味を含みます。人間の執筆した時点で、モリィにとって有意味なのです」
8: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/21(日) 23:46:55.15 ID:Aj1Xs5gP0
モリィにとって意味のない文章とは意味のない文章。困り顔のモリィは感情がないけれど、困り顔のままこの文章を読むだろう。その実、困り顔のモリィは困っていない。なぜなら感情がないから。
わたしは感情のないモリィにこの文章を読ませる。この文章にはモリィにとって意味のある文章であるけれど、それは意味のない文章としての意味を持つ文章である。そしてこの文章を読んだとき、モリィは困り顔で困らない。
9: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/21(日) 23:47:55.78 ID:Aj1Xs5gP0
意味のない文章を書くのは、想像しているより難しい。
完成した短い文章をモリィは瞬時に読む。
「この文章は『意味のない文章』という意味を持つ『意味のない文章』です」
10: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/21(日) 23:48:21.20 ID:Aj1Xs5gP0
終わりです。
依頼してきます。
11:名無しNIPPER[sage]
2016/08/22(月) 00:23:51.57 ID:a9VMChv60
おつ
12:名無しNIPPER[sage]
2016/08/22(月) 01:00:44.85 ID:X9/u+tzJ0
面白かった
13:名無しNIPPER[sage]
2016/08/22(月) 15:32:19.53 ID:X9/u+tzJ0
もっと評価されるべき
14:名無しNIPPER[sage]
2016/08/24(水) 19:37:13.69 ID:l8ql3/oGo
久しぶりに短いのに短すぎと思わない良い短編読んだわ
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