過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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オータ
◆aTPuZgTcsQ
[sage]
2016/08/23(火) 15:29:50.81 ID:Yu37ZZYbO
「アンパンマン!大丈夫!?」
「メロンパンナちゃん……!ぼくを上に連れていって!」
ぼくは精一杯の声で、メロンパンナちゃんに頼んだ。
メロンパンナちゃんは驚きながらも、ぼくを抱えて飛んでくれた。
谷底から崖の上へと浮かんでいくと、だんだん炎の気配が近くなって、辺りが燃える音がする。
たどり着いたがけの上は、一面に黒い煙が広がって、どうなっているかはよく見えなかった。
「メロンパンナちゃんはここで待ってて!」
「あ、待って!」
ぼくはよろめきながら走った。
ばいきんまんがどこかに倒れているかもしれない。
彼の声を聞き逃さないよう、ぼくは必死に耳をすます。
真っ黒な煙の中を、メカが立っていた方向に突き進んだ。
けれど、ぼくが見つけられたのは、メカの残骸ばかりだった。
どれも原型を留めていなくて、ごうごうと燃え上がっている。
まるで地獄のような光景に、ぼくは立ち尽くした。
彼の声も、どこを歩いても聞こえてこない。
さっきまで、彼と話していたのに。
さっきまで、彼の動く姿を見ていたのに。
ばいきんまんはもうここにはいない。
「アンパンマン!」
はっと気がつくと、咳き込みながら追い付いてくるメロンパンナちゃんの姿が見えた。
メロンパンナちゃんも青ざめていて、ぼくにそっと問いかける。
「アンパンマン。ばいきんまんはどうしたの……?」
なんて答えたらいいか分からなかったのに、ぼくの口は勝手に呟いていた。
「助けられなかった……」
メロンパンナちゃんが驚いた顔でぼくを見る。
そして顔がだんだんと歪んでいき、涙があふれだしてきていた。
メロンパンナちゃんはぼくにしがみついて、泣き声をあげる。
「アンパンマン……!泣かないで……!」
メロンパンナちゃんはそんなことを言ったけど、ぼくはちっとも涙が流れてこなかった。
きっとなにが起きているのか、理解できていなかったんだと思う。
ぼくはメロンパンナちゃんの泣き声を遠くに感じていた。
全て、遠くの世界で起こっているような、現実じゃないみたいだった。
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