過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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16:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage]
2016/08/23(火) 15:31:13.13 ID:Yu37ZZYbO
ぼくたちは遅れて飛んできたアンパンマン号に乗り込んだ。
中にはジャムおじさん達とドキンちゃんが乗っている。
窓の外に広がるバイキン城の残骸を見て、ドキンちゃんは青ざめていた。
なにも喋らないドキンちゃんに、ぼくは起こったことの全てを話した。


「ばいきんまんはぼくをかばったんだ……ごめんね」


ジャムおじさん達も固唾を飲んでぼくの話を聞いていた。
ドキンちゃんはぼくに首を振ってみせる。


「アンタが悪いわけじゃないわ。私が悪いのよ。私がばいきんまんのメカをいじったりしなければ……」


それ以上は言葉にならなかったみたいで、ドキンちゃんは開いた瞳から、大粒の涙をこぼした。
アンパンマン号の中はとても静かだ。
ドキンちゃんの泣き声すらも聞こえない。


「ジャムおじさん……なんとかできないんでしょうか」


ぼくは苦し紛れにジャムおじさんに聞いた。
しかし、明るい答えが返ってくるはずもなく、ぼくたちはさらにうつむいた。


「死んでしまったものを、生き返らせることはできないんだよ。
それが、世界の理だからね」


死んでしまった、と言う言葉は刃のように、ぼくに深く突き刺ささる。
ばいきんまんはもう、この世にはいない。
もう会うことも、話すことも、イタズラを止めることもできない。
そう思うと、胸にぽっかりと穴があいたようだった。
自分の頬を流れるはずの涙さえ、穴に吸い込まれてしまったみたいだ。


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