過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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28:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage]
2016/08/23(火) 15:48:43.56 ID:Yu37ZZYbO

「あらまぁ、なんだかおかしなところですね〜」

「うん……」


ぼくは空を覆う紫色の木の葉を見つめた。
木の幹もぐねぐねとうねって、普通の育ちかたをしているようには見えない。
地面に生える草まで紫色で、薄暗い森の中をこうもりが羽ばたいているようだった。


「不気味なところって、なんで落ち着くんでしょ。
こんなところでドキンちゃんとデート出来たら最高ですね〜ホラー」

「そ、そう?」


ぼくはホラーマンの言っていることがちょっと分からなかったけど、深くはたずねなかった。
そして、ぼくたちは森の奥へと歩き出す。
茂みがガサガサと動くたびに少し驚いたけど、悪さをする動物はいなかった。
ほっとため息をつくぼくを見て、ホラーマンはからかうように笑う。


「あら?アンパンマンって、こういうところは怖かったりします?」

「うーん、ちょっと苦手かな……」

「だらしがないですね〜。私はぜんぜん怖くないですよ?
おばけも怪物もみーんな友達ですから」

「そうなんだ。ホラーマンはすごいね」

「ええ、だから、もっとわたくしを頼ってもらってもいいんですよ」


ホラーマンはちょっとだけ誇らしげに言った。
けれど、前の方から足音が聞こえてくるのを聞いて、少し表情を変えた。
足音の主は二人のようだけど、会話する様子もなく、ぼくたちへと早足で迫る。
光がほとんど届かない森の奥はよく見えなくて、どんな人が近づいてくるのか分からなかった。
胸をはっていたホラーマンはぼくの後ろに隠れてしまい、ぼくたちは身構えて、音のする方を見つめていた。


「あ、アンパンマン、逃げないんですか?」

「えっと、どうしようか」

「わたしはアンパンマンだけが頼りなんですから、はやく決めてもらわないと!」


さっきと言っていることが変わっていて、ぼくは少し笑った。
それに、ホラーマンは慌てているけど、そんなに心配することはないんじゃないかと思う。
だって、聞こえてくる足音は、ぼくがよく知っている二人のものにそっくりだったから。


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