過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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44:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage]
2016/08/23(火) 16:13:00.45 ID:Yu37ZZYbO

「アンパンマン。あなたはあの二人から、この子たちの話を聞いたんですね?」

「うん、そうだけど……」

「わたしは、この子たちから直接聞いたんですね。
この島とこの子たちの秘密を」

「みんな、時間が戻ってしまうこと分かってたの?」

「うん……夜に近づくと、だんだん今までのことを思い出すんだ。
これはきっと、森の奥にある理の石の力が弱まっているんだと思う」

「理の石?」

「うん。アンパンマン達の世界は、理を司るものは本の形をしているみたいだけど、ぼくたちの世界では石だったんだ」


こどもたちは大人びた声で、ぼくに話した。


「僕たちは理の石を守る守護者の家に産まれた。
けれど、あるとき守護者の家のこどもたちが、病気にかかって倒れ始めた。
今までそんなことはなかったのに、僕たちの代だけ、どんどん死んでいった。
きっと、僕たちの世界は終わりを迎えようとしていたんだと思う」


男の子たちも女の子たちも、みんな真剣な顔をしている。
彼らの話に疑う余地はなかった。
男の子の話に続けるように、女の子も話し出す。


「その時、私たちの親たちはやってはいけないことをしたの。
世界をなんとか守るために、私たちを病気が発症する前の幼い姿に戻し、私たちの時間を狂わせた。
そして、死んでしまわないように、この島に閉じ込めたわ。
でも、そこまでしても、世界が終わってしまうのを止められなかったようね」


女の子は悲しそうに笑ってぼくを見た。
きっと、前の世界にぼくたちのような人はいなかったのだろう。
ホラーマンも真剣な顔で、こどもたちの話を聞いている。
ぼくは、彼らについ聞いてしまった。


「君たちは、ぼくたちの世界に取り残されてしまったってこと?」

「うん……そうだよ」


別の男の子が、辛そうに目をふせる。


「こんな時間の檻に閉じ込めてまで、僕たちの親は世界を守りたかったみたいだね。
けど……僕たちが帰れる世界はもうなくなってしまったんだ」


みんなの話はあまりにも辛いもので、ぼくは胸が痛むのを感じた。


「……どうにかならないのかな」


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