過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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55:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage]
2016/08/23(火) 16:27:57.73 ID:Yu37ZZYbO

「アンパンマン……なんてことを!」


島の方からも、こどもたちの悲鳴が聞こえた。
ぼくの判断は間違っていたのだろうか。
ぼくは一目散にこどもたちの方に飛んで、こどもたちの頭をかばって、ぎゅっと抱き締めた。
ホラーマンも、こどもたちを出来るだけかばおうとしている体勢だった。
誰かこどもたちを助けてください。
それが叶うならぼくは。

しかし、ふいに揺れは収まって、波の音も静かになる。
そして、ぼくたちに光が降り注いだ。


「これは……!」


はっと見上げたぼくの頭上で、紫色の木の葉が光の粒になり、空へと吸い込まれていくのが見えた。
地面も同じように緑色の粒になって、消えていく。
木の葉の隙間からは太陽がのぞき、ぼくたちは太陽の光に包まれていた。
こどもたちから、驚きの声と、喜びの歓声があがる。


「太陽の光を浴びてるのに、苦しくない!」

「時間が元に戻ったはずなのに、体がすごく軽いわ!」

「なんだか空も飛べそうだね!」


すると、本当にこどもたちの体は光と共に浮かび上がり、地面から少しずつ離れていった。
このままこどもたちは死んでしまうのだろうか。
もう、こどもたちに会うことも話すことも出来ない。
遊ぶことも笑った顔を見ることも出来ない。
そう思うと、喪失感が胸を締め上げた。
思わず、行かないで、と口からこぼしそうになった。

けれど、雲の上から羽の生えた人達が島に舞い降りたので、そんな言葉もどこかへ消えてしまった。


「……お母さん……!」

「お父さん!」


こどもたちが口々に叫ぶと、羽が生えた人達は、キラキラと輝きを纏いながら、こどもたちに微笑みかける。


「ずっと、あなたたちを助けられなくてごめんなさい。
私たちはずっと、あなたたちを待ってたわ。
一緒に帰りましょう」


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