過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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72:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage]
2016/08/23(火) 16:53:46.46 ID:Yu37ZZYbO

ぼくは背筋に寒気を感じていた。
ぼくは一体なにを見ているのだろう?
この映像がなんなのか、ぼくには全く分からない。
混乱しているぼくを気にもとめず、水晶玉はバタコさんやチーズを映した。
クリームパンダちゃんも居るようで、三人はパン工場の工房で、ずっとうつむいている。
三人ともなにも話さないまま、映像が切り替わった。
すると、今度映ったのはジャムおじさんだった。
ジャムおじさんはいつもと変わらない様子で、なにかの応対に追われているようだった。
けれど、その目の下にはうっすらクマが見える。
よく見ると、前よりちょっと痩せているようだった。

映像はさらに続き、全ての来客がなくなってもジャムおじさんを映し続ける。
ジャムおじさんは、パン工場の三人や、外にいたカレーパンマン達やメロンパンナちゃんにも声をかけて、励まして回っていた。
そして、一人でパン工場の中を片付けて、一人でなにかの準備をしていた。
もうそんな状況にも慣れてしまったのかのような、孤独な動きだった。

そして、ジャムおじさんは外が暗くなっていることをみんなに告げて、ベッドで寝るように促した。
衰弱しきっているバタコさんとメロンパンナちゃんの肩を支えて、なにか言い争いをしているカレーパンマン達の仲裁をして、クリームパンダちゃんとチーズは一緒に寝るように勧めていた。
やっとみんなはそれぞれの部屋に行き、ジャムおじさんは一人で大きなため息をつく。
するとジャムおじさんも立ち上がり、工房の電気を消した。
階段の方に歩いているので、二階の自分の部屋に向かうのだろう。
そう思った。


「……あれ?」


ジャムおじさんはなぜか自分の部屋より手前で立ち止まった。
その部屋を、ぼくはよく知っている。


「……ぼくの部屋だ」


ジャムおじさんはなにかを考えているようで、ずっと扉の前で立ち止まっていた。
けれど、やっと決心がついたと言うように、ゆっくりとぼくの部屋の扉を開ける。
どこかおぼつかない足取りで、ぼくのベッドの前まで来た。

そして、突然泣き崩れた。


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