過去ログ - 提督「傑作だなぁオイ。笑えるぜ」
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10: ◆cDyTypz3/.[saga]
2016/08/26(金) 20:42:48.26 ID:J1uwhgey0
どんなに言い繕っても言い訳にしか聞こえないのだとその言葉で思い知らされた。

「十年だ。わかるか?十年だよ。何人の艦娘が死んだ?数えてないか?味方が死んでいくのは愉快だったか?」

遅れてその言葉を思い出す。

そうだ、何人の艦娘が死んだ。

自分でも笑いたくなるぐらい状況は自分に味方していなかった。

日本を助けたいなんて主張、その現実を前にしては脆くも崩れ去る。

もう信用回復は無理だと思った瞬間、ならせめてこれ以上信頼を下げてしまうような、悪印象を酷くさせるような善人者ぶり許しを乞うような発言はせず、あくまで悪役としての性格を貫こうと決めたのだ。そうすれば、ただの裏切り者でいられる。

・・・そうすれば、偽善を被った言い訳がましい裏切り者と思われないでいられる。

つまらないからとか、面白くないからとか、故意であったとか・・・。即興で悪役を演じようと自分が言えば言うほど、隣にいる五月雨の顔が苦痛に歪むのを見て、胸が張り裂けそうだった。提督の視線が敵意を含むのを見て、泣いて訴えたいとどれだけ思ったか。でも訴えなかった。訴えられなかった。

艦娘が死んだということは、提督の心にも傷が及ぶような事をしたことは、もうどれだけ言っても覆らないのだ。

もう信用は元に戻らない。

戻らない。最初の頃のような味方だと無条件で信じてもらえる状況には。

その事がひどく寂しくて、惨めで、悲しいから後悔する。

まだ提督に自分の正体がばれた段階、さっき思い出した発言を聞いたときはただ不審に思われているだけで済んでいたはずなのに。

全ては自分の南鳥島での行動が引き金になってしまった。

あれは裏切りだと彼は既に心の中で結論が出ているけれど、大和はただ彼を思ってやった行動だった。

司令拠点の防御の堅牢さを甘く見ていてはだめなのだ。敵とは極力戦闘しないで観測のみ行って退避するなんて彼は言っていたらしいけれど、そんなのできるわけない。

観測のみだなんて、観測なんてさせるわけがない。

絶対に行かせてはいけないから、軍規を犯して南鳥島を占領してでも止めに行った。提督に深海棲艦化を施したのは日本を憂える彼の手助けをしたかったから、深海棲艦の動向がわかるようにしてあげたかった。

本心だ、絶対にこれは本心だ。何に誓っても言い切れる。でも、他人からすれば聞こえのいい陳腐な後付けの言い訳にしか聞こえない。

本性が暴露されているために、事前に情報を伝えても信じてもらえないとわかっていたならどうすればよかっただろうか。

・・・知らなかったんですだなんて言わなければよかったのだ。彼の情を誘おうとして口をついてでた言葉を呪う。無理だとわかっていながらなぜ言ってしまったのか。これさえなければ敵側の情報ながら多少信じてくれるかも知れなかったのに。

でも言ってしまったのだから、南鳥島であんなことをするんじゃなくて、発生したであろう海戦に途中参戦して自己犠牲で彼らを退避させればよかったのだ。

そうすればよかったと、激しく後悔している。


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