390:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 22:00:22.13 ID:WZRWBcW7o
真昼の街中は喧噪に満ちていた。
ごく普通のフェミニンスタイルに身を包んだ蘭子へ、気付いたファンが手を振ってくれる。
下ろした銀髪を靡かせて、蘭子も笑顔で手を振り返す。
蘭子のラストライブから、引退から一ヶ月。
この一ヶ月、蘭子はどう想いを告げようかずっとずっと唸っていたのだ。
そして最終手段として、蘭子は実家へ電話を掛けた。
母は自らの体験談を包み隠さず教えてくれた。
蘭子は感謝の意を伝え、微かに聞こえる父の嗚咽へ聞こえないフリを貫き、電話を切った。
男は、辛い。
「営業って……手ぶらで?」
「ふむ。まだ魔術式を解さぬか。何たる愚鈍」
(え、Pさんったら、まだ分からないの?)
「え?」
「我が身を請ける栄誉。これ以上の契りが世にあると?」
(契約者は、私っ)
蘭子が身を寄せ、指を絡ませ合う。
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