40: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:44:42.24 ID:ryABOIXv0
暫しの沈黙が続いた。女はかなり緊張しているようだった。男も女が口を開くのを促すわけでもなかった。
−−話せるようになったらでいいよ。と言うと男は空を見上げた。ずっと前しか向けない人間は、この星空を見ることができないんだろうなと思った。冬になれば、もっと綺麗で研ぎ澄まされた満天の星空をみることができる。この道で前ばかり向いていたら、一生涯空の世界に広がる何億以上もの光を拝むことができないのだろう。
女「私ね」
女が口を切った。話す気になったのだろう。目の前に居る女は、いつもの彼女より少し堅苦しいように見えた。そして、月と星に照らされている彼女は、いつもの彼女より幾分も綺麗に見えた。
女「私は男君、君が好きだ」
男「えっ。それはどういう−−」
女「どういうもこういうもないよ。君に異性としての好意を抱いているってことだよ」
真っ直ぐぶれることなく男の両眼を見つめながら女は言った。男は、気が動転してしまって言葉の返し方がわからなくなっていた。
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