過去ログ - 鷺沢文香「読み終えたら、またここに来てください」
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◆.qG5SOGbi.
2016/09/18(日) 16:33:42.02 ID:aNVVLWUx0
店長さんが、こちらをちらりと見ると話をいったん止めた。
「あぁ、ごめん。流石に無神経だったかな」
「……何がですか」
以下略
43
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/18(日) 16:34:26.38 ID:aNVVLWUx0
「だって、君、文香ちゃんのこと好きだったろ?」
44
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/18(日) 16:36:47.69 ID:aNVVLWUx0
頭が真っ白になった。
「は」
「え」
以下略
45
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:17:30.12 ID:v95LF+Hh0
「……あー…その、すまなかった」
「……いえ、大丈夫です……」
さっきまでの時間が嘘だったかのように、どちらも口を開かなかった。
以下略
46
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:18:35.36 ID:v95LF+Hh0
「君が、彼女と出逢って、彼女と本をどちらも好きになったのを、僕は見ていたから」
予想は、外れなかった。
47
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:25:53.08 ID:v95LF+Hh0
また、時間が静かに流れていった。
やがて、店長さんが、ふぅ、と余った息を吐きだした。
「……悪かったね、こんな話をして」
以下略
48
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:36:24.52 ID:v95LF+Hh0
気づけば、学校はすでにHRを終えていた。
帰るには早すぎた自宅に、もうそろそろ向かっていないと怪しまれる頃だ。
扉の前で店長さんに礼を言うと、彼は少し寂しそうにしていた。
「また、来ます」
以下略
49
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:58:15.01 ID:v95LF+Hh0
「…そういうことですか」
「そういうことだよ」
「……じゃあ、少し時間がかかるかもしれないです」
以下略
50
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 02:01:27.69 ID:v95LF+Hh0
外に出ると、すっかり日は落ち、深い藍色に星々が輝いていた。
おそらく、この場所に来なかったらこれでさえ憂鬱だっただろうと思いながら、イヤホンを耳に挿し音楽を探す。
何もかもが腑に落ちていた。
あの頃の僕が、どうして鷺沢さんと無理やりでも話したがったのか。
以下略
51
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 02:48:19.50 ID:v95LF+Hh0
〜
「遅くならないうちに帰ってきてよ。あなたいないとお義母さん寂しがるから」
「分かってるよ。すぐに帰ってくるから」
以下略
52
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◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 03:16:15.83 ID:v95LF+Hh0
外に出て自転車にまたがると、力の限り足を踏み出す。
車に乗れば楽だが、今日だけは自転車で行きたい気分なのだ。
結婚してからは実家に戻ってきたのは、今回が初めてだ。
両親は、妻のことを温かく迎え、実の娘のようにかわいがってくれている。
以下略
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