過去ログ - 佐久間まゆ「あなたを待ちわびて」
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11: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 22:27:33.20 ID:RE0Y+nXd0


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以下略



12: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 22:35:20.18 ID:RE0Y+nXd0
仙台での撮影は、何事もなく終わった。そう、本当に一日で終わってしまった。
朝早くに新幹線で故郷に向かい、現場に着き、メイクをしてもらって、打ち合わせ。それから、撮影。
NGも何回か出たが、カメラの角度やカンペの読み間違い、つまり、撮影を中断するほどのものでもなく、
結局陽が暮れる前にはテレビ局を後にしてしまうほどだった。



13: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 22:40:38.15 ID:RE0Y+nXd0
「……さて、じゃあ行こうか」

あなたはそう言って、テレビ局の門を出てすぐにタクシーを呼んでいた。
数分もせずに来た車に乗り込み、あなたは運転手に、わたしの家の住所を口にする。

以下略



14: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 22:46:05.63 ID:RE0Y+nXd0
……数か月ぶりに両親に会い、ほんとうに帰郷したことを改めて自覚した。
あなたはほんとうに事前の連絡をしていたようで、わたしの突然の帰りを、お父さんも、お母さんも、驚くことなく歓迎していた。
久しぶりに触れる両親の手……。心の準備もままならなかったとはいえ、そのぬくもりにわたしは胸が震える。

『君には親がいる。君に微笑み、君の手をとってくれる人がいる。どうか、どうか幸せに生きてほしい』
以下略



15: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 22:50:30.08 ID:RE0Y+nXd0
久しぶりのお母さんの手料理はとてもおいしかった。
女子寮で自炊することはあっても、食べていてこれほど嬉しくなるご飯を作れたことは、たぶん、ない。
……たぶん、それはわたしの隣にあなたがいるから。

玄関口で手土産を両親に渡したあなたが「ホテルに帰ります」と言ったとき、即座にお母さんがあなたを制した。
以下略



16: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 22:57:18.65 ID:RE0Y+nXd0


「プロデューサーさん」

二階の自室、廊下をはさんだ向かいが客間で、あなたはここに泊まることになった。
以下略



17: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:01:07.83 ID:RE0Y+nXd0
六畳一間の客間。普段は中央にテーブルを置いているが、端に寄せられ、今は布団が敷かれている。
窓の外には、都会では見ることの叶わない数多の星々が見える。
部屋のわきにはスーツが掛けられ、その真下にはあなたの荷物が置かれている。
あなたはシックな柄のスウェットに身を通し、布団の上に座っていた。
そのスウェットに見覚えはなかった。
以下略



18: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:03:19.14 ID:RE0Y+nXd0
「まさか、こんな日が来るとは思いませんでした」

「……ほんとだな」

ふう、というため息とともにあなたは応える。
以下略



19: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:05:50.00 ID:RE0Y+nXd0
「まゆ、きみ……お母さんになにか言った?」

「いいえ……わたしもまさか、こんなことになるなんて……」

これは本心だった。
以下略



20: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:15:28.86 ID:RE0Y+nXd0
……そのまましばらくの間、わたしはあなたの声を待った。
あなたは何度もわたしを伺っては、所在なさげに目を泳がせるばかり。
それでもあなたは、わたしを拒むことなどない。
むかしのあなたなら、きっとわたしを振りほどき、わたしが部屋に入ることさえ断ったはずだ。
もしかしたら、あのとき無理にでもホテルに帰っていたのかもしれない。
以下略



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