過去ログ - モバP「白菊ほたると一輪の笑顔」
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16: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/09/07(水) 13:06:04.88 ID:QSjMH8mi0
 突然の待ちぼうけ。俺とほたるちゃんはフェンスに近づく。目の前は暗い海。その先には街が煌々と輝いていた。

「向こう側、キラキラしてますね」

「うん、綺麗だね」

「少し前は周りを不幸にしてしまいそうで行けなかったんですけど、今なら行ける気がします。撮影が終わったら、一緒に歩いてもらえますか?」

「喜んで」

 しばらくして、花火が上がる。青、赤、緑、そして黄金色に近い光の色。炎色反応によって色づけられた花火は、破裂音と火薬独特の香りを伴って夏を彩った。

「撮影が遅れたのは不幸ですけど、こうやってプロデューサーさんと花火を見られたのは良かったと思います。私も、そんなふうに考えられるようになりました」

 一歩近づいてきたほたるちゃんは花火にかき消されないために、声を大きく言った。

 わざわざ俺に伝えてくれるようとする彼女に、見惚れてしまう。

 ひと際大きい花火が上がって、視線を正面に戻した。俺は花火を見上げながら言う。

「また、来年も一緒に見よう」

「約束ですよ」

 そう言う声音は明るくて。顔を横に向けると、ほたるちゃんは笑っていた。ちょっとだけ不器用な笑顔に、俺は惚れ直したのだった。




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