過去ログ - モバP「白菊ほたると一輪の笑顔」
↓ 1- 覧 板 20
16: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/09/07(水) 13:06:04.88 ID:QSjMH8mi0
突然の待ちぼうけ。俺とほたるちゃんはフェンスに近づく。目の前は暗い海。その先には街が煌々と輝いていた。
「向こう側、キラキラしてますね」
「うん、綺麗だね」
「少し前は周りを不幸にしてしまいそうで行けなかったんですけど、今なら行ける気がします。撮影が終わったら、一緒に歩いてもらえますか?」
「喜んで」
しばらくして、花火が上がる。青、赤、緑、そして黄金色に近い光の色。炎色反応によって色づけられた花火は、破裂音と火薬独特の香りを伴って夏を彩った。
「撮影が遅れたのは不幸ですけど、こうやってプロデューサーさんと花火を見られたのは良かったと思います。私も、そんなふうに考えられるようになりました」
一歩近づいてきたほたるちゃんは花火にかき消されないために、声を大きく言った。
わざわざ俺に伝えてくれるようとする彼女に、見惚れてしまう。
ひと際大きい花火が上がって、視線を正面に戻した。俺は花火を見上げながら言う。
「また、来年も一緒に見よう」
「約束ですよ」
そう言う声音は明るくて。顔を横に向けると、ほたるちゃんは笑っていた。ちょっとだけ不器用な笑顔に、俺は惚れ直したのだった。
◇
27Res/27.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。