過去ログ - 澪「シンクロナイズドドリーミング」
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17:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/09(金) 16:17:05.59 ID:ROM1DOs8o
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黒唯「――で、お礼は言わなかったんだね?」
澪「言わなかったというか、言えなかったというか・・・」
黒唯「気の利いた言葉も言えなかったんだね?」
澪「・・・はい」
黒唯「あと、心の友って言われて内心嬉しかったんでしょ? りっちゃんにツッコミは入れるのにそっちはスルーってどういうこと?」
澪「いや・・・嬉しい気持ちばかりで、つい。唯のすぐ後にムギも続いてくれたことまで含めて嬉しくて・・・」
黒唯「そんなに嬉しかったなら尚更、なんで言葉にしないの?」
澪「・・・そう言われると返す言葉もありません」
そういう空気じゃなかった、なんて言い訳も出来るけど、言葉にしておけばよかったと後悔する気持ちも確かにある以上、言い訳はするべきじゃないだろう。
黒唯もそれを見越して言っている。さすがは私を映す鏡だ、その言葉は誰よりも私に刺さる。
黒唯「まったく、私の弱みには簡単に付け込んで世話を焼くのに、自分が焼かれたらこの体たらくっていうのはどうかと思うよ?」
澪「確かに・・・唯は素直に喜んでくれて、私もそれが嬉しくて・・・そんな関係だったな」
唯本人は私がそんな間の抜けた反応をしようと気にしていないようだったけど、それに甘えちゃいけないんだろう。
至極シンプルに考えたとしても、私は唯から貰った笑顔を唯に返せていないことになるのだから。
黒唯「それに、気にしてないってことは今までと何も変わらないってことだからね。それじゃ私も困るんだよ、わかる?」
澪「・・・うん」
黒唯「・・・あんまりモタモタしてると、取られちゃうかもよ?」
いつの間にか黒唯は、ムギのキーボードの前に立っていた。
人差し指だけで鍵盤に触れる。間の抜けた音が一つ鳴った。
澪「・・・誰に取られるんだ?」
黒唯「さあ? わかんない」
キーボードを見つめたまま、どうでもよさそうに呟かれる。
という事は実際、相手は誰でもいいのか。いや、全員に可能性があるのか?
そうだ、そのキーボードの持ち主――ムギが昨日は律と先生を、今日は唯と先生を見て目を輝かせていたように、『誰と誰とがいつ付き合おうと不思議じゃない』のかもしれない。
どこかの誰かに唯を取られてしまう可能性も、ゼロだなんて到底言えないのかもしれない。
もしそうなった時、私はどうするのだろうか。わからない。わかりたくない。考えたくない。
考えたくない程度には・・・私は唯の事を好きなのだろう。
澪「・・・同じ失敗は二度としないよ」
黒唯「そうだね、澪ちゃんは頭のいい子なんだから、そうしてもらわないと」
澪「キツい言い方だなあ」
そう言いつつも、私はそのキツい言い方をありがたく思っていた。
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