過去ログ - 澪「シンクロナイズドドリーミング」
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20:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/09(金) 16:21:23.71 ID:ROM1DOs8o


彼女「・・・メールをしよう、と提案したのは私です。その結果平沢唯が喉を枯らし、貴女が重荷を背負う羽目になったのですから、責任くらいは感じます」

澪「へぇ・・・」

彼女「何ですか、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして」


その表現、私と合わせて三度目だよ。
・・・そう、二人合わせて考えていいはずなんだ。その程度には私達は似ている。何故なら・・・


澪「あなたは私の映し身でもあるんだから、あなたの提案も私の中のどこかにあったはずなんだ。どちらが先に気付いたかの問題なんだから、一人で責任なんて感じなくていいよ」

彼女「・・・そう言って貰えると助かりますが」

澪「それよりも「責任」なんて言葉が出てくることが意外だったよ。キューピッドが神か天使かはともかく、どちらにせよ私達人間よりは上の存在だし」

彼女「・・・キューピッドのようなもの、としか言ってませんよ、私は」


少し私から目を逸らしながら、彼女は言う。


彼女「人を導くように振舞ってこそいますが、私は自身を上位の存在だと考えた事はありません」

澪「そう、なの?」

彼女「はい。私は――いえ、我々は、むしろ貴女達を羨ましく思っていますよ」

澪「・・・そっか」

彼女「はい」


何と言えばいいのかわからなかった。
勝手に上位の存在だと決め付けていた私は、彼女の事を何も知らなかったから。
私に協力してくれるのも単なる仕事程度のドライな認識だろうと思っていたから。
羨ましく思われていたなんて知らなかった。彼女がどんな思いで協力してくれていたのかなんて考えた事もなかった。
キューピッドであると言われ、集合意識と言われ、個性を持たないようにしていると言われた程度で、決め付けてしまった。
私は今、後悔している。胸の中にあるこの感情は間違いなく後悔だ。そしてきっと、この感情はすぐにでも彼女にも伝わってしまう。
だったら思うままに言ってしまおう。これ以上、彼女に気を遣わせたくない。


澪「一つ、質問があるんだ」

彼女「何でしょう?」

澪「同じような子が沢山いるって言ってたけど、担当してる子を途中で交代するようなことは無いよね?」

彼女「はい。貴女の恋愛が成就するまでは、貴女の担当は私です」

澪「よかった、嬉しいよ。これからもよろしく」


握手を求める形で手を差し出す。
流石に掌返しが過ぎるかな?と思いつつも、でもこれ以外のやり方なんて思いつかない。
上位の存在である事を否定した彼女と、私は対等な存在として仲良くなりたいと思ってしまったのだから。
助けてもらっている立場ながら図々しいとは思うけど、だからこそ思い切って私から近づいたんだ。
出会った次の日に唯が距離を縮めてくれて、私にいろいろなものを与えてくれたように。
私の方から彼女に近づく事で、何かを与えられたらいいなと思って。
そんな私が差し出した手を、彼女は僅かな間の後、握ってくれた。


彼女「貴女の恋愛が成就するまでの間ですからね」


そう言う彼女の顔は、唯には及ばないとはいえ、確かに笑顔だったように思えた。


彼女「では今日からは学園祭に向けての特訓と行きましょうか」

澪「・・・うん?」

彼女「対等な関係なのでしょう? ならこれからはもっと厳しくいきますよ。振り落とされないようについて来てくださいね?」


・・・あれ、笑顔ってこんなに怖かったっけ?



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