4:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:21:11.36 ID:mHQTk8ix0
 その後は車で移動しながら小梅と軽い打ち合わせを行い、ロケ現場へと到着した。 
 小梅を降ろした後、俺はそのまま事務所へとUターンする予定だった。 
  
 「Pさん…気を、つけてね…」 
  
 心配そうに小梅が手を振る。 
 俺はなるべく気丈に見えるよう、わざと大きく手を振り返した。 
  
 「ふぅ…」 
  
 駐車場へと着いた俺は車のキーを慎重に回した。 
 気持ちが焦って交通事故でも起こしたら問題だ。 
 気持ちを落ち着けるために、運転席で深呼吸を行う… 
  
 するとそこで、首の後ろに冷たい感触が走った。 
  
 「うわっ!?」 
  
 反射的に手を首の裏側へやると、冷たい水分が手に触れた。 
  
 「なんだ、汗か…」 
  
 どうやら過敏になりすぎているようだ。 
 9月の初旬とは言え、未だ残暑は厳しい。 
 冷房の効いた車内で汗の冷たさを感じるのは、何も不思議なことじゃない。 
  
 そう、何も不思議なことなど起こらないのだ… 
 まるで願うように、俺は心の中で呟いた。 
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