28: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:06:22.31 ID:jzgcTAa+0
――それから6時間後。小惑星の接近を視認した裕子は急いでこの情報を千川ちひろに伝え、ちひろ経由で
位置情報を教えられた様々な宇宙機関がその小惑星の観測を行っていた。
そして観測を終えた者達は皆絶望的な口調でちひろに情報を戻し、なんとか足掻いてみるという力無い
言葉を残して通信を終えていく。
報告を受けたちひろは溜息をつき、その場に残っていた裕子が見たこともないような疲れた表情で呟いた。
ちひろ「……あと1時間半で、小惑星の落下……か……」
裕子「やっぱり……落ちてきちゃうんですか? 誰も見つけてなかったのが不思議な気もしますが……」
ちひろ「直径110から130メートルの小惑星が秒速45から60キロメートルで太陽方面から来ていた場合、見つけるのは難しいんですよ」
裕子「そういうものなんですか……」
すでに物事を図る感覚が常人とは違ってしまっている裕子には、ちひろの言葉がイマイチよく理解できない。
迎撃するのではなく見つけるだけなら、自分は肉眼でも出来たというのに。
ちひろ「これが落ちてきた場合、あとは隕石の密度や入射角にもよりますが、落ちた場所は甚大な被害を受けるでしょうね……」
裕子「破壊することは出来ないんですか? ミサイルとか色々あると思いますけど……」
ちひろ「赤ちゃんに戦艦の砲撃を打ち返させるようなものですよ?」
その例えだけで、現在どれだけ危険な状況なのかがはっきりとした裕子は、腕を組んで唸ったあと、
自分とプロデューサーだけなら安全な場所へ逃げられるのではないかと思案する。
裕子(隕石がどこに落ちるかはまだ正確にはわからないけど、落ちる場所から遠くにいれば大丈夫のはず……)
ちひろ「とにかく、貴重な情報ありがとうございましたユッコちゃん。ところで、プロデューサーさんとは喧嘩でもされたんですか?」
裕子「え? あ……」
ちひろ「ユッコちゃんのプロデューサーさん、怪我をされて元気が無いようでしたが、話を聞いても『なんでもない』とだけで……」
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