32: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:15:13.64 ID:jzgcTAa+0
裕子P「ユッコって、本当にスプーン似合うね……」
裕子「そ、そうですか? な、なんだかそういうの照れますね、えへへ♪」
裕子P「それで、実は私も大事にしてるスプーンが一つあって」
裕子「そうなんですか!? 初耳です! 見せてもらってもいいですか!」
グニャグニャのスプーンを手にしてから、以前の裕子の姿が戻ってきたことを喜ばしく思ったプロデューサーは、ここで
ずっと大事にしていたスプーンをポケットから取り出した。これがもう少し裕子の助けになればと願いつつ。
裕子P「これなんだけど……」
裕子「……曲がってますね? これじゃカレーは食べられそうにも……ハッ!? まさかこれはプロデューサーが曲げた……!」
裕子P「ハズレ。これはユッコが曲げたスプーンなの……覚えてる? 初めて会った時のこと」
勿論その時のことを忘れるはずもない裕子は、初めてプロデューサーと会った瞬間の出来事を思い返す。今になってみれば、
この人はスプーンを曲げられなかった自分を、面白いから採用、なんてよくそんな博打みたいなことをしたものだと感じてしまう。
裕子「当然ですよ! でもプロデューサーって変な人ですよね。さいきっくぱわーの足りなかったあの頃の私を
採用するって決めて、本当に大丈夫だったんですか?」
裕子P「それなんだけど、ユッコあの後、オーディション会場にスプーン忘れていったでしょう?」
裕子「そういえば……って、それじゃあプロデューサーの持ってるスプーンってもしかして……!」
裕子P「うん。その時のスプーン」
裕子「……曲がって、曲がってたんだ……」
プロデューサーから手渡された、オーディションの時のスプーンを見て、思わず嬉し涙を零す裕子。あの時はプロデューサーが
優しい人でよかったと思うあまり、曲げられなかったスプーンのことがすっかり頭から抜けてしまっていたのだ。
けれども実際はそのスプーンもこうして曲がっていたことを知れて、さらにはプロデューサーがそれをずっと
持っていてくれたことが、裕子の心に温かい何かを取り戻させていく。
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