過去ログ - 星輝子「第3.5回 フレ志希のケミカルカオスキュートラジオ(仮)」
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5: ◆mBiXSAH/fw[sage saga]
2016/09/13(火) 23:55:11.13 ID:/wRsch+H0

TRACK3.RAISE MY SWORD

「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

始めて見た戦場は、怒号と剣戟と鮮血に溢れていた。
普段は軽々と持ち上がるはずの剣が重くて持ち上がらない。
手足が震え、呼吸が上手くできない。

空気を吸って吐くのは、こんなにも難しいことか?

そこで気付く。むせ返るほどの血のにおいに。
戦場となっているシイタケ平原は、辺り一面を菜の花で埋め尽くすキレイな場所だった。
今は血の匂いしかしない。

「新参者か? 震えているあいだにあの世へ送ってやるよ!」

気がつくと目の前に敵が居た。
酔ったような焦点の合わない瞳で、ぶんぶんと剣を振り回している。
いつもなら止まって見えるはずなのに、今はぼやけて剣筋すら読めない。

何で剣が上がらないんだ!

足がもつれて尻餅をついてしまう。
相手の剣が胸元を薄く切った。

「ちぃ! ちょこまか避けやがって! そろそろくたばりやがれ!」

――死ぬ。このままでは、確実に。

敵が俺の心臓を貫こうと剣を振りかざす。

――死ぬ? このまま? 妻も息子も道連れに?

そして、剣を振り下ろした。

――いや、生きる! 戦え! 声を出せ! 感情を爆発させろ!!

「――ヒャッハァアアアアアアア!」

声を張り上げた途端、体が動いた。腕が動く。剣が軽い。
視界が開けて世界がクリアに見えた。

――いける!

相手の剣を弾き、がら空きになった胴体に剣を突き刺す。
片ひざ立ちで天に剣を掲げて、神に祈りを捧げるような姿になってしまった。
人を討った俺が、神に祈りを捧げることなどできないというのに。

声を張り上げたことによって、ようやく俺は体に酸素を供給することができた。
次なる敵と戦うときも叫び声を上げよう。
意味は分からないが、俺の窮地を救ってくれた言葉だ。きっと助けてくれる。

「ヒャッハァアアアアアアアアア!」

声を張り上げながら、視界に入った新たなる敵に向かって斬りかかる。
手の震えは止まり、胸には高揚感しかなく、俺は自分が変わっていることを実感していた。



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