過去ログ - 【モバマスSS】祝福についての一考察【佐久間まゆ】
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1:NaCl2315[saga]
2016/09/16(金) 21:30:21.79 ID:/Mxv7rGl0
夕方、仕事が終わって事務所に入ると中は真っ暗でした。人の気配もなく、微かに何かの音楽が聞こえてきます。

「プロデューサーさん?」

確か彼は事務所で作業をしているはず、そう考えながら奥へ入ります。

「・・・何やってるんですか」
「ああ、まゆ・・・。よく来たね。観ていくといい」

事務所の応接スペースには大きなスクリーンが運び込まれ、映画が映し出されていました。

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2: ◆BSXvNghmP1ho[saga]
2016/09/16(金) 21:35:35.01 ID:/Mxv7rGl0
スタッフロールが流れていきます。タイトルらしき文字はNOSTALGHIA。続いて霧の立ち込める山間の草原。黒くて大きな犬、小さい男の子、若い娘、おそらくその二人の母親。それらが抑制的なカメラワークで撮影されたモノクロのカット。

「もう終わるところですか?」
「いや、今再生し始めたところ。この監督は作品の始めにスタッフロールを流すんだよ」
「ふうん・・・そうですか」
以下略



3: ◆BSXvNghmP1ho[saga]
2016/09/16(金) 21:36:37.64 ID:/Mxv7rGl0
「プロデューサーさん、まさかこれ全部・・・」
「全部見た。これが最後の一本」
「・・・お仕事はどうしたんですか」
「これも仕事みたいなものだよ。演出面での参考になる」
「そうなんですか?」
以下略



4: ◆BSXvNghmP1ho[saga]
2016/09/16(金) 21:37:56.14 ID:/Mxv7rGl0
映画はどうやら病を抱えたロシアの詩人についての話のようでした。世に倦んだ陰気な詩人が、イタリアの取材をしながら故郷の風景を思い出す、という構成になっています。詩人はイタリアで狂信者に出会い、彼の話に興味を抱きます。

『ろうそくに火を灯し、泉を渡るのだ。それで世界は救済される』

映画はセリフが少なく、ドラマの展開も希薄で退屈に思えました。シーンも一つ一つが間延びしているようで、プロデューサーさんが隣に居なければ眠ってしまいそうでした。
以下略



5: ◆BSXvNghmP1ho[saga]
2016/09/16(金) 21:38:35.63 ID:/Mxv7rGl0
画面の中では、世界を救おうとした狂信者が演説を終え、自分の身体に灯油をかけるシーンでした。無関心な観衆が遠巻きに見つめる中、彼は自分に火をつけ、苦しみに悶え、絶叫して息絶える。燃え続ける遺体を観衆の沈黙が包みます。
次のシーン、水の枯れた泉。詩人も計画を実行しているところでした。ろうそくの火はかすかな風でも消されてしまいます。何度も失敗して、最後に反対側の岸まで辿り着いた時、詩人は発作を起こして息絶える。


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