過去ログ - 前川みくと話せた猫の話。
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13:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 18:29:39.03 ID:RBrPvO4M0
「にゃあ」

 ミケが鳴いて、みくから離れた。

「あっ……」

 みくがさびしそうな声を出して、ミケを見る。自分は見捨てられたのだろうか。ミケの気持ちがわからない、自分を……。いったんかわきかけたみくの目から、また、涙があふれそうになる。みくは顔をうつむかせて、目蓋を閉じる。

「にゃあ」

 ミケが鳴いて、とあるビデオが入っているケースを叩く。そして、店主の方を向いた。

 店主はハッとした。

「……みくちゃん。ミケが何を言いたいのか、今なら、私もわかるわ」

 店主の言葉に、みくが顔を上げる。

 いつものように、店主が日高舞のビデオを準備している。

 いつものように、ミケがテレビの横でくつろいでいる。

 そして。

「にゃあ」

 と、ミケが鳴いた。

「……うん」

 みくは涙を拭い、うなずいた。

「約束、したもんな」

 テレビは日高舞のステージ映像を映し始めようとしている。

 みくは立ち上がって、テレビの隣に立った。

 そして、いつものように、歌い始める。

「おもいでがおりかーさなーってくー♪」

 その隣でくつろぐ猫は、ただその歌に耳を傾けていた。

「にゃあ」

 満足そうに、彼女は言った。



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