過去ログ - 新田美波「上書く口付け」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/17(土) 21:43:08.26 ID:CHRKUnfE0
「……卯月ちゃん……凛ちゃん……未央ちゃん……」

「仕事が重なって忙しくて、ほとんど休めずに疲れた姿でいたところを見つかって、そうして卯月ちゃんに膝枕をされて……瞼をそっと閉じられて、あの優しくて柔らかな空気に抱かれながら、慈しむように額を撫でられて……」

「整える間もなくてボサボサになってしまっていた姿を見られて、みっともないからって手を引かれ連れられて、そうして凛ちゃんに直されて……甘い花の香りに包まれて、温もりと想いを注がれながら、しっかりと綺麗に髪を整えられて……」

「長く連なって続いていた仕事たちがひとまず一段落して、事務所で仕事をこなす姿にも少しずつ余裕が戻ってきて、そうして普段通りになったところを未央ちゃんにじゃれつかれて……一挙手一投足距離が近くて、躊躇いもなく抱き着かれたりして、お疲れ様のご褒美だからと頬に口付けまでされて……」

「あの三人に尽くされた……たくさんを届けられて、いっぱいを贈られた……あの三人の想いに塗られて、そして染められた……プロデューサーさんの……」


 最後に一つ、強くて大きな口付けを――強く、大きくて、けれど胸元へそうするようにここへも跡は残さないくらいの口付けを。首筋へ、落とす。

 ここは胸元や、お腹や、腰とは違う。服に隠れない、皆に露な、公の場所。私が至っていい場所じゃない。

 ここへ至ってもいいのは私じゃない。プロデューサーさんにそこを許された、隣へ添うことを認められた、最愛を誓われ望まれた人ただ一人。私じゃない。今の私は至れない。そこへ至るのは私じゃない誰か。

 だから、今はまだ。それへ、そんな存在へ、そのプロデューサーさんの唯一へなれていない今はまだ。――いつか、いつの日かそこへ届くまでは、駄目。

 だから……でも、先走って我慢できずに漏れてしまう気持ちはやっぱりあって。だから、跡は残さないように、けれど私に許された中での一番を注ぐ。強く、大きく。

 そしてそれから。首筋へそんな口付けを落としてから、上へ。

 卯月ちゃんに触れられ、凛ちゃんに染められ、未央ちゃんに抱かれたそこへ。眠るプロデューサーさんの――瞼は閉じたプロデューサーさんの顔へまで進む。進んで、そして上書き。

 口付け。口付け、口付けて、口付ける。

 唇で感触を落とし、舌で想いに濡らし、吸い上げて愛に満たす。

 私を、プロデューサーさんの私へ。

 プロデューサーさんを、私のプロデューサーさんへ。

 染められながら染めていく。

 一つに。愛しい愛おしい想いの中へ、二人、一つに溶けていく。


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