7:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 21:58:28.79 ID:Sa18P+fH0
そんな狸親父は、晩年「おれは大腸ガンだから、今飲まないと損をする」などと、医者が聞いたらその場で退職を考えるのではないか、というほどの冒涜的なセリフを吐いて、酒をがぶがぶと飲んでいた。
それだけ飲めるならば心配するわけないだろう。大いに飲め。
8:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 21:59:19.09 ID:Sa18P+fH0
手配したタクシーに乗り込む直前、担当アイドルである小梅ちゃんが「大丈夫だよ」と俺に思いっきりハグをした。
身長差があるせいですっぽり覆い隠すような格好で、俺も小梅ちゃんを抱きしめる。
9:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:00:13.59 ID:Sa18P+fH0
飛行機は快適にぶっ飛び、約八〇〇キロメートルを一時間と少しで繋ぐ。
何年かぶりの新千歳空港は空気がひんやりしていて、俺はコートも着ずに飛び出したことをひどく後悔した。
10:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:00:59.01 ID:Sa18P+fH0
窓を見れば何もない平野にまだまだ雪が残っていて、しばらくしたらその景色はビルに変わっていく。
ターコイズの日本海が見えるまではもう少しだった。
11:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:01:38.05 ID:Sa18P+fH0
坂と運河の街が近づく。
その街にはたくさんの日本人と少しのロシア人が住んでいて、旨い酒に旨い肴を今晩も楽しむんだろう。
地酒も地ワインもあることを思い出して、お土産には苦労しなさそうだなどと考えていた。
12:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:02:50.92 ID:Sa18P+fH0
「おかえり、早かったね。仕事忙しいんだべ? もしかしたら来れないかと思ってた」
お袋はそう言って、駅で出迎えてくれた。
まだ目の周りが赤くなっていて、どれだけ泣いたのか見当がつかない。
13:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:03:24.73 ID:Sa18P+fH0
通夜の晩、親族どもでどんちゃん騒ぎがあった。
その中で俺がアイドルのプロデュースなんてことをやってることが話題になり、親父が小梅ちゃんの出てる番組はすべて見ていたことを知った。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:04:23.57 ID:Sa18P+fH0
◇
担当アイドルの白坂小梅ちゃんについて話そう。
ウチの事務所は女神であったり自称天使であったりネコミミが跋扈しているが、小梅ちゃんもそれに漏れなく大変な美少女だ。
15:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:05:03.90 ID:Sa18P+fH0
のんべんだらりとやっていたら、小梅ちゃんとの距離がどんどん近くなった。
彼女のパーソナルスペースの狭さは意外だった。
小梅ちゃんは結構スキンシップの多い子で、ハグは基本だし、事務仕事をしていたらあすなろ抱きされる。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:05:53.14 ID:Sa18P+fH0
「やっと、帰ってきたんだ……」
そう言ってはぐぅと抱きつくから、俺もはぐぅとやり返す。
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