17:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:06:39.16 ID:Sa18P+fH0
美人の笑顔がかくも恐ろしいものだとは。
背後にドス黒い怒りが見えて、身を固くする。
蛇に睨まれたカエルはこういう気分なのか。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:07:12.34 ID:Sa18P+fH0
「どうして毎回注意してるのにすぐべたべたするんですか!」
「いやぁもう無意識っていうか」俺がそう言えば、ちひろさんは深いため息を吐いた。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:07:45.89 ID:Sa18P+fH0
ちひろさんはぷりぷりしたままデスクに向き直り、キーボードをダダダダッと叩いている。
きっと俺の査定がダダダダッと下がっているのだろう。あゝ無情。
「小梅ちゃん、そろそろ袖を……これだってちひろさんに見られたらマズいから」
20:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:08:26.64 ID:Sa18P+fH0
◇
右往左往していた俺たちが一番最初にやりだしたのが、ネットの顔出しラジオだった。
顔出しラジオって、それってラジオなのか? まぁともかく、アイドルとして顔出ししていくのにも、一番ハードルが低いかと思ったのだ。
21:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:09:10.50 ID:Sa18P+fH0
「あそこは……ふ、二人の、愛の巣……だね……」
「時々思うけれど、小梅ちゃん俺のこと好きすぎない?」
22:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:10:17.08 ID:Sa18P+fH0
人気アイドルの仲間入りをしても、他のアイドルが頻繁に遊びに来ることなども相まって小梅ちゃんには欠かせない番組になっていた。
時々起こる怪現象も素敵なスパイスになって、しっかりオカルトファンも掴むことができた。
今でも収録中にポルターガイストが起こるのは日常茶飯事だ。
23:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:10:51.90 ID:Sa18P+fH0
◇
小梅ちゃんに連れられて、俺は今収録ブースの前にいる。
「それで、困ったことって?」
24:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:11:44.84 ID:Sa18P+fH0
往々にして幽霊さんは、自分のことのわかる小梅ちゃんにだけ用がある。
それ以外の人に関わるときはイタズラが殆どで、俺に用があるなんて幽霊さんは初めてだった。
当然、俺は幽霊さんを見ることができないし、触れることもできない。
25:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:12:15.06 ID:Sa18P+fH0
ところがどっこい、俺に用があるときたもんだ。俺の知り合いなのか?
なんの恨みか。祟られるのか。
「……大丈夫な人?」
26:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:12:43.31 ID:Sa18P+fH0
ドアを開けた瞬間俺の目に映ったのは、ふわふわ浮かぶ一升瓶だった。
27:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:13:19.46 ID:Sa18P+fH0
あぁ、これは小梅ちゃんが困る訳だ。俺だって困る。
どこから持ってきたのだろうと思ったが、一升瓶くらいなら事務所にはいくらでも転がっている。それで良いのかこの事務所。
机に置かれたコップには、残り少しではあるけれど透明な液体。見たことのあるラベル。
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