過去ログ - 【ミリマス】765プロ昔話『だいくとおにろこ』
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名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:39:39.02 ID:COmojWpi0
恵美「ああ、どうしたものだろう。あいつの名前がわかれば、なんとかなるかもしれないけれど」
とはいうものの、どうやって鬼の名前を知ることができるのか、まったく思いつきません。
町の人や村の人はきっと鬼のことを知らないでしょう。知っていたら前もって大工におしえているはずですし、話題に上がったこともないのです。
以下略
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:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:40:42.18 ID:COmojWpi0
さしあたって、大工は山を越えた先にある村をめざすことにしました。月と星の明かりをたよりに、暗い山道をせかせかと急いでいきます。
恵美「それにしても、しゃくだなあ。おちょくってきた鬼とやりあった、アタシがうかつだったか」
むかむかする気持ちに、大工の口からは小言がもれます。何がわるかったのかと考えるほどに、鬼のいじわるさと自分の浅はかさに対する怒りがわいてきました。
以下略
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:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:42:42.13 ID:COmojWpi0
さて、ちょうど山道を降りてきたころでした。
わき水の流れている辺りに大工が座って休んでいると、どこからか奇妙な歌声が聞こえてきます。
耳をすますと、かわいい女の子の声がさきほどよりもたしかに耳へ届いてきました。
以下略
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:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:46:00.52 ID:COmojWpi0
すぐに声の主を見つけた大工は、相手へ声をかけました。
恵美「そこのおまえさん。ずいぶん変わった歌をうたうんだね」
桃子「えっ。ひょっとして、桃子の歌をきいていたの」
以下略
16
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:48:21.56 ID:COmojWpi0
はじめはつっけんどんな態度でいた女の子でしたが、大工の人当たりのよさもあって、少しづつ大工の話に応えるようになっていきました。
恵美「すると今の歌は、夜ふけになるとこのあたりに来るという、君の友達が教えてくれた歌なんだね」
桃子「うん。でも、昨日は来てくれなかったの。今日も待ってるのに、まだ来なくて」
以下略
17
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:49:57.28 ID:COmojWpi0
さて、そうしている内にも時間はちくたく過ぎていくわけで、先を急ぐ大工としては都合がよろしくありません。
いいかげん、この子と別れなくては。そう思った大工は、最後にこんなお願いをしたのでした。
恵美「ねえねえ。お友達が教えてくれた歌、一曲でいいからアタシにも教えてくれないかな」
以下略
18
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:51:33.75 ID:COmojWpi0
桃子「どう。お姉さん、おぼえられたかな」
恵美「ううん。はっきりいって、これは覚えられる気がしないね。音の流れだけなら、何とかなりそうだけどさ」
大工の言うことを聞きながら、女の子はうんうんとうなずきます。
以下略
19
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:53:43.25 ID:COmojWpi0
女の子と別れた大工は、ある考えを胸に秘め、今まで歩いて来た道を走ってもとへ戻っていきました。
夜の月はすっかり沈んで、空も白んできています。うっすらと霧の立ちこめる例の川ぶちには、両岸に架かる立派な橋ができあがっていました。
橋のたもとには、大工の他にだれもいません。その場でじいっと待っていると、ぼこぼこと湧き上がる泡とともに、鬼が姿をあらわしました。
以下略
20
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:55:15.92 ID:COmojWpi0
鬼「あなたのカレッジは認めましょう。さあさあ、みごと私の名前を答えてみなさい」
鬼の大きな大きな声に応じるように、大工も大声で鬼の名前をさけびます。
恵美「お前の名前ははしこという。橋をかける、橋子だ」
以下略
21
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:57:10.62 ID:COmojWpi0
二人の声に負けじと川は音を立ててどうどうと流れます。
川淵に向かい合う鬼と大工は、身を乗り出すようにして互いに相手の目を見すえておりました。
鬼「ブレイブリィなカーペンターさん、そろそろ人がやってきます。次が最後のつもりで答えてみなさい」
以下略
22
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:57:39.89 ID:COmojWpi0
恵美「お前の名前は、ろこだ。橋を架けたは、おにろこっ」
次の瞬間、鬼はうーっとうめくような声を出して川底へと姿を消していきました。
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