17: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2016/09/28(水) 18:33:29.20 ID:UB/pX29A0
「あ、終わったんだ!」
「美穂おねーさん!」
「あ、仁奈ちゃん。滑ったら危ないですからゆっくりいきましょう」
まゆに制止されて仁奈は駆け出しそうになっていた姿勢を整え歩き出す。そのまま美穂の浸かっている湯船にゆっくり入ると、ふぁぁと気持ちよさそうな声をあげる。
「この世の極楽でごぜーますー……」
「それ誰かの真似なのかな?」
「ふふっ、でも確かに気持ちいですねぇ」
時間帯によっては少し混んでしまうこともある湯船は今日はほぼ貸し切りである。賑やかなのもいいが広く使えるのはやはり嬉しい。
仁奈も広い湯船に興奮が抑えられないのかうずうずしている様子が見て取れた。
「あんまりはしゃいじゃダメですけど、少しぐらいなら動いてもいいですよ」
誰もいないならいいかと、まゆがそう言うとぱーっと仁奈の顔が輝く。そして次の瞬間には泳ぐように動き始めた。
「うおー、ひれー!」
はしゃぐ仁奈をちらと目にかけながら、まゆも漸く全身の力を抜いた。
「ふあ、ああぁ……」
普段まゆから聞けなさそうな声がしたことに美穂が驚いた表情をする。
美穂は少しだけまゆに近寄ると少し声の音量を下げて口を開いた。
「えっと、まゆちゃん。今日って仁奈ちゃん連れてきたのって……」
「ええ、まゆが連れてきました。実は事務所前で……」
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