4:名無しNIPPER
2016/10/03(月) 00:25:01.28 ID:7eCLb7540
「あ、でも、昔と言えば私、タイムカプセルを埋めたことがありますよ!」
今日は茜ちゃんが珍しく話題を提供してくれました。
あ、そうそう。こういうラジオって本来は台本が用意されていて、それに沿って進行するのが普通ですよね。
私たちのラジオも最初はそれに倣って台本が用意されてたんですけど、
未央ちゃんは台本に書かれていない話題を色んなところから引っ張り出してきてまるで台本が役に立たず。
茜ちゃんは約一時間分の番組の台本を覚えきれず、最終的には知恵熱を出してしまって。
そして私は台本通りに進行しようとすると、倍以上の時間がかかってしまって尺が全く足りない。
こんな様子にライターさんもお手上げになってしまい、結果的には台本なしのほぼアドリブで進行するラジオになっちゃいました。
それでも、こっちの方が個性が出てていいわね! とディレクターさんが褒めてくれているのでそのままです。
話を戻しましょうか。
茜ちゃんの口から出てきた、「タイムカプセル」という単語を未央ちゃんが逃すはずもなく。
「お、茜ちーん、その話気になるねぇ。私たちにもっと詳しく聞かせてよー」
「そうですね。茜ちゃんの昔話、私も凄く気になります」
「そうですか! あれは私が5歳の時にですね――」
すかさず茜ちゃんのタイムカプセルに反応した未央ちゃんに、重ねるように私も茜ちゃんにお話を促します。
タイムカプセル。何だか凄く懐かしい響きがしますよね。まだ16歳の私が言うことでもないかもしれませんけど。
「5歳の時にですねー……えーっと………………………………………………………………何を入れたんでしたっけ?」
芸人さんみたく、ガタッと体勢を崩す未央ちゃん。
茜ちゃんの目が珍しく泳いでいます。
「いやいやいや茜ちん、そこはちゃんと覚えておくトコでしょ。むしろそこ覚えてないと何もないでしょ」
「いやー確かにそうなんですが、確かに何か入れたはずなんですが! 何かとても大切なモノを入れたのは確かなんですが!!」
「た、タイムカプセルの大きさはどれくらいだったんでしょう。そこから中身が何か……」
「大きさは確かこれくらいです!」
そう言いながら、茜ちゃんは自分の胸の前でジェスチャーをしながらタイムカプセルの大きさ(大体ティッシュ箱4つ分くらい)を私たちに伝えてくれます。
でも茜ちゃん、それだとリスナーの皆さんにはちょっと伝わらないかも……
それから、うおぉぉぉぉぉぉ、と頭をかきむしりながらタイムカプセルの中身を思い出そうとする茜ちゃんでしたが、結局中身は思い出せず。
ちょっともやもやが残ったままになっちゃっいましたけど、今週のラジオの収録は終わりました。
ラジオの収録が終わって控室に戻り、ちょっとぐったりした様子の茜ちゃん。そこまでして必死に思い出そうとしてくれてたんですね。
そんな茜ちゃんに、未央ちゃんがペットボトルのお茶を差し入れてくれました。
「お疲れー茜ちん。ゴメンね、タイムカプセルのこと思い出そうとしてくれてたのに、つい色々いじっちゃって」
「ありがとうございます、未央ちゃん。いえ、あれは私が思い出せなかったのが原因ですから……」
日野茜、一生の不覚……! と悔しげにしながら、ペットボトルのお茶を一気に飲み干す茜ちゃん。
私も未央ちゃんからお茶を受け取り、それをこくこくと飲みました。
みんなお茶を飲んで一息ついたところで、私の口から思わず言葉が漏れていました。
「それにしても、茜ちゃんがタイムカプセルの中に入れたモノって、一体何だったんでしょう……?」
「おっ、あーちゃんもやっぱり気になる? 気になっちゃうよねー?」
まるで待ってましたと言わんばかりに食いつきの良い未央ちゃん。その表情はとても楽しそう。
「これはさ、やっぱり実際に見てみなきゃだと未央ちゃんは思うのですよ!」
「実際に……茜ちゃんの、タイムカプセルをですか?」
「そう! 茜ちん、タイムカプセルを埋めた場所は覚えてる?」
「ばっ場所ですか!? それならえっと……確か家の裏手にある小山の頂上に埋めたはずです!」
よーし! と大げさに袖をまくる動作を取る未央ちゃん。
そして次に未央ちゃんの口から放たれた、
「ポジティブパッションは、これより茜ちんタイムカプセル捜索隊に期間限定リニューアル! 茜ちんの大切な思い出を思い出す旅に出るのだーっ!」
この一言から、茜ちゃんのタイムカプセルを私たち三人で探すことになって。
この時はまさかそれがあんな事態になるとは、私たちは誰も予想していなかったのでした。
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