過去ログ - 天の原ふりさけ見れば春日なる...
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32:三十分後に投下再開します。[saga]
2016/10/04(火) 23:08:56.79 ID:NypoJ6GT0
その時点で時雨はパニック状態だった。何も考えず無我夢中で白露を抱きあげて、全速で後方へ向かって逃げる。
逃げて逃げて、機関が異音をたてようとも限界まで吹かして逃げた。
途中で五月雨と会えたのは、奇跡だった。
二五〇〇。横須賀鎮守府応接間。
舞鶴が到着するまで七時間を切った。
正直嫌な予感しかしていない。
彼女達が群狼作戦にはまったとなれば、無傷では済まされないだろう。
大破艦の一人はでるか、最悪の場合轟沈も・・・、
提督「くそ、俺が信じてやらないでどうする・・・っ」
提督は一睡もせず、ただひたすらソファーに座ったまま舞鶴の到着を待ち続けていた。
何回も寝た方がいいとお茶を運んで来てくれたりした人に言われたが、寝たくても寝付けないのだ。
それほど彼女たちの安否が心配だった。
心配のあまり寝られず、しかしそれは彼女達を信じていないということになるのではという思考の無限回廊へ入りかけたところで、扉が叩かれ、衛兵が入ってきた。
衛兵「舞鶴より連絡です。今、高知県近海を航行中とのことです」
提督「・・・ありがとう、下がってくれ」
時折こうして舞鶴から連絡が入る。今周防灘を通過したとか、今伊予灘を通過中であるとか。提督に無駄な心配をさせないようにという副長の計らいであろうと思う。
提督「見るまでもなくわかるか・・・、俺の気持ちなんて」
本当に危険だとなった場合には、空母機動部隊は潜水艦群を迂回してでも帰還してくるだろう。南鳥島を捨ててまで帰ってきてくれるかどうか・・・、もしかしたら飛行機だけでも飛ばして帰還するかもしれない。
まさか駆逐艦の一部が挺身突撃なんてのはしないはずだ。普段から勝算の薄い戦いは厳に慎むように言い渡してあるのだから。
提督「練り直しておくか」
補給艦隊。
五月雨が白露を背に負って、補給艦隊は一路南鳥島へ向かう。
その場に会話はなく、ただ走り続けていた。
五月雨は必死に涙を、声をあげてしまうのを堪え続ける。
時雨曰く、この先の潜水艦群はほとんどいないとのことだから、このまま進んでも大した脅威には遭遇せずに済むだろう。
速吸も普段なら喜びそうな事だが、状況が状況だけに顔は晴れない。
ついに出てしまった。舞鶴からも轟沈者が。提督が知ったら、
白露「・・・ん」
時雨「っ、白露っ!?」
白露が呻くような声をあげたことにいち早く気づいたのは時雨だった。
白露「あれ・・・、私なんでおんぶされてるの・・・?」
周りの皆も思わぬ声に耳を疑っていた。
白露が目を開けて自分の今の状況を疑問に思っている。
まさか深海棲艦隊になったかと身構えるが、時雨の行動でそんな警戒は一瞬で解けてしまう。
時雨「しぁ、白露ぅ・・・!」
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