29:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:22:01.50 ID:6BNWGd8K0
その後、絶品のオムライスに舌鼓を打ったあと、お父さんとお母さんが頼んだ食後のデザート(私はさっきショッピングモールで食べたスイーツで甘い物は満足だったので遠慮しといた)を待っていると、スマホが震えた。
画面を見れば、友達からだった。小学校からの付き合いで、一番仲良しの友達だ。
ついでに言えば、2日ほど前、随分前から好きだった男子に告白し、見事に撃沈し絶賛落ち込み中の子でもある。
声を掛けるのもためらうくらい落ち込んでいて、本人からも一人にして欲しいと言われたので連絡を断っていたのだが、ようやく私に電話出来るくらいには気力が回復したらしい。
店内は通話禁止という訳ではないが、お店の雰囲気を壊したくなかったのと、内容も内容だと思い、お父さんとお母さんに了解を取って、お店の外に出て電話を取った。
好きだった、すごく好きだった、こんなに好きなのに、どうして……と泣きじゃくる彼女をなだめ、落ち着かし、励まし、ちゃんと来週の月曜日学校に来るんだよ、と言って電話を切った。
……羨ましいな、と思う。
私には、一緒になれない事で、泣くくらい好きな相手は、お父さんとお母さん以外にまだいないから。
……お父さんも、お母さんも、お互いの事、まだ泣いちゃうくらい好きなのかな、とぼんやり思う。
世の中の夫婦が全部上手く行っている訳ではない、というのは中1の私でも流石に分かる。友達や知り合いの両親が離婚なんて話も、聞きたくないが嫌でも耳に入ってくるし。
まぁ、実の娘から見ても、ちょっと冷やかしたくなるくらい仲はいいし、私が心配するような事でもないんだろうけど……
そう思いながら、スマホをポッケにしまい、店内に戻る。
そうだ、今日はあの男の子に、今度の授業の宿題の事、しっかり伝えなきゃ……と思いながら席に戻ろうとして
もう、瀧君機嫌戻して……しょうがないよ、そういう年頃なんだからさ……はい、あーん。
嫌だ……絶対に誰にも渡さないぞ……可愛い可愛い俺の娘を、どうしてどこの馬の骨とも知らん奴に……あーん。
未だに不機嫌になってるお父さんに、超ニコニコしながらデザートをあーんしてあげているお母さんの姿が。
……泣いちゃうくらい好きなのかは分からないけど……
なんとなく、お母さんもお父さんもまだまだ若いじゃん、と思った。
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