55:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:48:08.24 ID:6BNWGd8K0
そう言って、俺は三葉を抱きしめた。
出産直後だから、そんなに強くは抱きしめられなかったけど。
……三葉が妊娠してからというもの、俺はありとあらゆる家事はやれるだけやったし、ともかく三葉が元気にかつ健康に赤ちゃんを産めるように気を使ったつもりだが、それでも出産時の痛み、疲労はどうしても肩代わりできないものだから。
その分の労いを込めて。
「うん、ありがとう。でもね、瀧君。お医者さんもびっくりするくらいの安産だったんだよ」
「……そうなのか?」
「うん、そうだよ。3時間も掛からなかった。この病院での、出産までの最短記録更新だって。それに生まれてからすぐ、元気一杯泣いてた。さっきお医者さんにも私も赤ちゃんも問題なしって言われたよ」
「……そうか……良かった……本当に、良かった」
涙こそ出なかったが、猛烈に感動し、何かに感謝したくなった。
世界中の人たちに、この幸せを伝えたかった。
今ならそこら辺を歩いているハゲオヤジにすら酒の一杯でもおごれそうだった。
「赤ちゃん……可愛いな。目元とか目尻とか、三葉そっくりだ。きっととんでもない美人さんになるな」
「うふふ、瀧君、もう親バカ?」
「親バカじゃない。事実だ」
「もう、瀧君ったら……」
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