過去ログ - 芳乃「黄昏の帰り道を、そなたと二人で」
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[saga]
2016/10/04(火) 20:14:48.71 ID:X90mnw8p0
わたくしは少し早足で対岸にいるかの者のもとへ向かいますー。
かの者は踏切から少し下がった位置でわたくしを待っていましてー。
「よう、芳乃」
「こんばんはでしてー」
手を上げてかの者はわたくしを迎え入れてくれましてー。
寂しさが露と消え、ほわりと暖かなものがわたくしを包みますー。
……なるほどー。
「学校の帰り道か?」
「そうでしてー。そなたは……もしや、わたくしを迎えに来てくれたのでしてー?」
「いや、事務所へ帰る途中だ」
「おやー」
少しだけ残念ではありますが、なればこれは本当に偶然の出会いでしてー。
それこそ、まさにさだめであったかのようなー……えへー。
「迎えに来てほしかったか?」
「一緒に帰って友達に噂されると恥ずかしいので結構でしてー」
「……なんだそれ?」
「お友達から教わりましてー。男の人に誘われたときはこうしろとー」
このように振舞うとクラスのマドンナとやらになれるそうなー。
その立ち位置に興味があったわけではありませぬがー、教わった手前一度くらい実践してみるのも一興でしてー。
「……そうか」
「なら、女子寮まで送ろうと思ったがやめておくよ。じゃあな」
「待つのでしてー」
……二度とこの言葉は紡ぎませぬー。
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