過去ログ - 白菊ほたる「幸せ願う」クラリス「笑顔の偶像」
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◆kiHkJAZmtqg7
[saga]
2016/10/13(木) 22:37:04.75 ID:mzegZ2Br0
「事務員さんも、先日の白菊ほたるさんとのことはご存知でしたよね」
頷いて続きを促す事務員さん。私もまた言葉を続けていきます。
「あの時も少し触れましたが、ほたるさんとは以前に一度だけ面識がありました。まずは、その時のことをお話しします」
なるべく客観的に、事実と言えそうなことに絞って語りました。
私の視点だけでは見えなかったものを、事務員さんに見てもらいたかったのです。
ただ、別れ際に、ここに来て良かったと言ってくれたこと、とても素敵な笑顔であったことは伝えたいと願ってしまいました。
それ故に、私は今困惑を抱えているのですから。
「これくらいでしょうか。次にほたるさんと出会ったのが、先日になります」
「なるほどー……。確かに、びっくりしちゃいますよね」
事務員さんはむむ、と唸ります。
少しだけ冷めた、それでもまだ飲みやすいと称することのできる温度の紅茶に口をつけて、彼女の言葉を待ちました。
「えっと、クラリスさん。ほたるさんはお仕事がどうなったか伝えには来なかったんですか?」
「ああ……小さな事故で協会の閉鎖が予定より早まっていたので、機会を失ってしまったのかもしれません」
「……ん、そこです。ほたるちゃん、不幸を近づけてしまう、と言っていたじゃないですか。教会のことも気にしてたんじゃ……」
「それは、確かに……」
「それに、それにですよ?ほたるちゃん、ここにやってきたってことはやっぱり、前の事務所……」
「……!」
そんな、当然のことをすら、私は失念していたなんて。
失念……いえ、違います。
忘れていたわけではなく、私はただ、それを想像することすらできていなかったのです。
ほたるさんがここにスカウトされてきた、その前提にあるべき出来事。
それはつまり、彼女は元々の居場所を失ったということで。
もしかすると、あの時彼女が話していたお仕事が上手くいかなかったのではないか。
そんな可能性も頭に浮かびます。
そうであるなら、私はなんと浅はかなのでしょうか。
彼女の不安を和らげてあげられたというだけで、彼女のその後を勝手に決めつけていたのですから。
「私が言ったことも、ただの想像です。なので、本当にそうかなんてわかりません」
「はい。わかっています。……だから、決めました」
事務員さんは何を、とは問いません。
ただ、そうですかと頷き、紅茶に口をつけ。
お砂糖忘れてた……とひどく残念そうな表情を見せていました。
ほたるさんと教会で話した日。
それ以降に彼女の教会や私に対する印象が大きく変わっていたとして、それは何の不思議もなかったのです。
……確かめたい、と。そう願いました。
直接伝えなければ、私は彼女を誤解したままだから。
彼女に近づきたい、私の想いに嘘はありません。理由はそれで十分でしょう。
私は、一つの提案をプロデューサー様に持ちかけるべく、事務員さんにお礼を言って席を立ちました。
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