10:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:27:26.48 ID:snFV7Fpq0
人の多いこの街。あふれるような、この街――
窓の向こうを流れていくその姿を眺め、私は目を細めました。
夜を裂くきらめきは、スモーク張りを通しても眩しいのです。
片側三車線の広いアスファルトの大地。
行き交う車は、二つの目のようなライトを光らせ、またそのつややかな肌に輝きを跳ね返しています。
向こうの歩道には、黙々とひとり、あるいは友人、同僚、恋人、家族と並んで歩く老若男女が、街灯の下で賑わいを織り成しています。
上京して、もうしばらく経ちますが、慣れるということはいつまでもないと思います。
たったこれだけの土地に、こんなにも人間が集まり、そのひとりひとりが、それぞれの生活を営んでいるという、単純にして重大な事実――
私はいつもその尊さに驚き、翻って自分の頼りなさに肩を落とすのでした。
というのも、流れていく人々の隙間で、私だけがひとり、置き去りにされているような心地がしてしまうので。
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