14: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:11:15.58 ID:O4qi00qi0
意味不明だけど、なんとなく納得させられてしまう。
世界レベルは伊達ではないらしい。
「で、なにやってんですか。レッスンはもう終わってるでしょう」
「あなたを待っていたのよ!」何故か自信満々なヘレンさん。言外に喜びなさいと聴こえた気がしたけど、ぼくは、はあと相槌を打つに留めた。「このあとの予定は?」
「もう帰るつもりでしたけど……」
「さすが私ね。タイミングまでバッチリ。これが世界レベルよ!」
「……で、用件は」
「食事に行きましょう。たまにはいいでしょ?」
「それはまあ」
悪いとは言わない。しかし、躊躇う気持ちがないとも言わない。
「世界レベルを喜ばせる場所なんて知りませんよ、ぼく」
「馬鹿にしないで頂戴! 世界レベルはなんでも美味しく食べるのよ!」
その理屈はどうなのだろうか。いや、確かに世界と比較しても日本の食事は美味しいほうだし、味は繊細だけども。
まあ、本人がいいというならいいのか。
「それに、今日は私のオススメを紹介してあげるわ!」
「はあ、……ええ、まあ、わかりました。お願いします」
目的も意図も行方不明な食事のお誘いは、だけど少し楽しみでもある。世界レベルのオススメとは一体なんなのか。
そんなふうに前向きに考えて、ぼくは逃げ出したくなる気を紛らわす。
ヘレンさんの少しだけ真面目になった表情に、少しだけ不安を覚えながら。気を紛らわしたのだった。
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