19: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:40:38.54 ID:O4qi00qi0
4.ススメ大人への道
「プロデューサーさんの思い描く大人らしさってなんですかー?」
給湯室からコーヒーを持って戻ると、ソファーに腰掛けている若葉さんに、昼休みのひと時に相応しい、間延びした柔らかい声音で首を傾げられた。手に持った結婚情報誌にでも触発されたのかもしれない。
期待の眼差しを向けられて戸惑う。俺からすれば二十歳はまだ大人だと言い切れない。
俺は向かいのソファーに腰を下ろして、首を捻った。
「考えたことないなぁ。俺だってまだまだ若造扱いされるし」
愛想笑いを浮かべて言葉を濁す。若葉さんは不満そうに頬を膨らませた。実に可愛いらしいと思う。
「そうじゃなくてー! あくまでプロデューサーさんの思う大人らしさです」
「あー、……落ち着きかな」
「落ち着き……?」
答えてみて不安になる。落ち着いたままの子供っぽさを持つ楓さんがいるあたり、誤答な気がしてならない。
若葉さんはうーん、と唸った。答を付け足すべきなのかもしれない。
「あと、色気とか? ほら奏ちゃんとか大人びてるし」
「なるほどー。落ち着きと色気、わかりました」
ふむふむと考えるように首を縦に振る若葉さん。やっぱり可愛らしく、庇護欲を刺激された。
それから二人で結婚情報誌を眺めながら、あーだこーだ大人らしさを議論していると、
「お疲れ様です……えっ?」
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