20: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:43:00.12 ID:O4qi00qi0
明るい落ち着きを持った声とともに千枝ちゃんがやってきた。結婚情報誌と俺たちの顔を交互に見て、驚いている様子だった。
「お疲れ。いや、違うよ? 結婚はしないよ?」
「なんですぐに否定するんですかー。プロデューサーさん、千枝ちゃんのこと好きすぎますよぉ」
「千枝のこと……好き、ですか?」
頬を膨らませる若葉さんと、頬を染める千枝ちゃん。進むも地獄、退くも地獄……いや、前門の虎、後門の狼かもしれない。
「ふたりとも好きです」
それでも沈黙は憚られて、面倒な事態になる前に俺は笑う。相手が相手なら糾弾される返答だが、純粋なふたりはえへへ、と嬉しそうに喜んでくれる。
このままのふたりでほしいものである。
「じゃあ、おふたりはなにをしていたんですか?」
「プロデューサーさんと大人らしさについて話してたのー」
「お、オトナらしさ!」
千枝ちゃんは瞳をきらきらと輝かせる。どうしてみんな大人に憧れるのだろう。デスクに積もる書類を一瞥して悲しくなった。
「千枝にも教えてください!」
「うふふっ、おねえさんにお任せなの」
立ち上がって胸を張る若葉さん。背伸びしているように見えたなんて言えない。
「まずは色気ね、こうポーズ」
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