9: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:02:36.19 ID:O4qi00qi0
梨沙は大仰にため息を吐いた。怒りを通り越して呆れたらしい。こうなってくるとどっちが大人かわからなくなってくる。
「なんでこうも極端なのよ。全部合わせてちょうどいいぐらいだわ」
「本当に面目ない。俺もまさかここまでのものができあがるとは思わなかったんだよ。もちろん、決定じゃないから安心してくれ」
「当たり前でしょ。これ以上ヘンタイとロリコンなんて増やしたくないわよ。パパにも見せるんだからもっとちゃんとしたもの用意してよね」
ああと応える。梨沙はフンッとそっぽを向いて返事をした。なんだかんだ言いつつも、愛想を尽かされないのだから、梨沙は優しい。この撮影の衣装は、梨沙の喜ぶものにしなくては。
そう決意したとき、輿水さんは衣装案を眺めながらぼそりと呟いた。
「でも体操着よりはマシかなぁ」
悲しい呟きだった。ここ最近、輿水さんは各地でバンジージャンプを体験しまくっていた。衣装は動きやすさを重視した体操着。衣装と呼んでいいのか躊躇うものがあった。
「なんかごめん。俺から輿水さんのプロデューサーに言っておくから」
「アタシもごめん。贅沢な悩みよね……」
ふたりで頭を下げると、輿水さんは焦ったように手を振った。
「い、いえ、イヤだというわけじゃなくて。……でも、ありがとうございます、ちょっとお灸を据えといてください」
なんというかまあ、方法論の違いだけど、もう少し梨沙と話し合ってもいいのかもしれない。輿水さんのプロデューサーも色々考えてはいるのだろうけど。
どうせなら笑ってもらいたいよなぁ。と俺は心のうちで呟いた。
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