15: ◆zPnN5fOydI
2016/10/30(日) 14:46:59.28 ID:JntGMmXe0
「おはよう」
「おはよう」
平日の朝。大潮と霰は、淡々と挨拶を交わし、朝食を取る。
音のない朝食風景。昨日のことが、未だに整理できていない。
騙されたことに対する提督への怒りなどは、大潮は持っていない。
ただ、実在した姉の自殺。戦争の終焉の真実。
不自然に思っていたことへの悲しい答え。
パズルのピースが埋まったと同時に残った、妙な喪失感、虚無感が、大潮を無気力にさせた。
「行ってきます」
霰が先に家を出て、大潮はゆとりある少々の時間を家で過ごす。
思い出そうにも、思い出せない『朝潮』。いつ出会い、いつ別れたのかも思い出せない。
一方霰は、朝潮に関する記憶は全くない。
ただ、近くにいたのに気づけなかった。明石の時と同様の、そんな罪悪感があった。
そして、明石が姉妹のために、意を決して話してくれたことに対する姉妹の罵倒に、どこか申し訳なさを感じていた。
電車に乗り、いつも通り会社に出社する。いつも通り、明石が隣にいる。
「おはようございます、海野さん」
「おはよう、大海さん」
明石はいつも通り笑顔で挨拶をするが、その目は腫れている。
いつもは仕事中でも多少のおしゃべりはするが、今日は全く話さない。
明石も霰も、いつも以上に仕事に集中し、気を紛らわす。
昼休憩。思い切って霰は明石を昼食に誘うと、明石は微笑み、外に出た。
店で適当に頼み、何を話そうか考える暇もなくサッと食べ終わり、店を出てしまう。
会社に向かう途中、霰は思い切って、明石に話しかけた。
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