過去ログ - 【ペルソナ5】死がふたりを分かつまで【佐倉双葉SS】
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10:屋根裏部屋の愚者[saga]
2016/11/11(金) 21:38:05.90 ID:YOv8t40L0


月明かりに照らされた床の木目をジッと見つめる。
部屋には月明かり以外、照らすものは無い。
必要が無ければPCもテレビも付けない暁の住むこの屋根裏部屋は静かな空間であるが、今夜の静けさは一層重く広がる。
騒がしい程に話しかけてくるモルガナが今はもういない。
暁ただ一人だ。
冬の海に取り残されたように、胸の内を真綿ような孤独が締め付ける。
昏い沈黙のなか、暁はソファーに座ったまま動かない。
両手を組み、床を睨み付けたまま一体どれ程の時間を過ごしただろう。
作業机に置いたままの携帯からしきりに着信音が聴こえる。
仲間達が明日のクリスマス会についての相談をしているのだろう。

竜司が馬鹿なことを言い、杏が叱り付ける。
祐介がずれたことを言い、春が宥め、真が仕切る。
そこにいつもなら双葉が茶々を入れるのだろうが、1時間前に見たチャットに彼女のメッセージは無かった。



『帰る』

そう言ってこの部屋を後にしてからずっとだ。
瞼の裏に、悲しげに瞳を伏せた双葉の横顔が焼き付いていた。
送って行こうか、そう言った自分の誘いを拒絶するように双葉は退けた。顔すら合わせることなく。
自分の振る舞いが、言葉が、表情が、彼女を傷付けた。
自分の振る舞いが彼女を不安にさせた。
もっと上手く隠せていれば良かったのに。
杏のことを大根役者と笑えないなと、自嘲の笑みが薄らと浮かぶ。




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