過去ログ - 高垣楓「私、猫になりたいんです」
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3:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:33:09.48 ID:1sM9NdHQ0
 唐突な話になりますが、私の家には幾つかのガラクタがあります。
 例えば、飲み屋の店先によくいる、とっくりを携えた狸の置物。
 異国の情景が三〇〇〇ピースに分割されたジグソーパズル。
 ずっしりとした重さのある白木の木刀。
 リンゴのようにつややかな色をしたダルマ。
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:33:50.79 ID:1sM9NdHQ0
 きりがないのでこの辺りでやめますが、何故こんなガラクタに囲まれた生活を送っているのかと言えば私の悪癖が原因なのです。
 端的に申し上げれば、私、お酒が好きなのです。

 すごく、好きなのです。


5:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:34:25.27 ID:1sM9NdHQ0
 いえ、これではお酒が悪いと言っているように聞こえるかもしれませんが、
 そうではありません。

 あくまで悪いのはお酒を飲み過ぎて、分別を失ってしまう自分なのです。

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:35:03.57 ID:1sM9NdHQ0
 もちろん、そんな事をいたしてしまった日の翌日は、
 鈍い頭痛と共に後悔の念が押し寄せるわけですが、人の反省はかくも脆いもの。
 ついついアルコールの気持ちよさに身を委ね理性を消滅させ、
 ガラクタを抱えて帰宅してしまうのもまた人の性でしょう。

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:36:07.44 ID:1sM9NdHQ0
 そしてまた唐突な話ではありますが。
 どうやら昨日の夜、また私の悪癖が出てしまったようです。
 ただ、今回私が手に入れてきたものは、どうやらいつもとは違うようで。
 ガラクタと呼ぶのはいかがと思われるしろものだったのでした。


8:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:36:56.29 ID:1sM9NdHQ0
     1

 ぷにぷにした何かで頬を撫でられる夢をみていました。
 それはとても幸福で気持ちが良く、安らぎに満ちていました。

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:37:27.37 ID:1sM9NdHQ0
 しかし私とて職を持つ身。
 今日も仕事がありますし、いつまでもこうしているわけにはいきません。
 起き上がろう、と意を決した時。
 はて、このぷにぷにしたモノはそもそもなんだろう、と気付くのでした。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:37:55.95 ID:1sM9NdHQ0
「なーおぅ」

 目を覚ました私に驚いたのか、前足をゆらゆらとさせています。
 それが少しソーラー招き猫の挙動に似ていて、思わず笑ってしまいました。

以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:38:24.89 ID:1sM9NdHQ0
 今回も何か手がかりはないか部屋を見回したところ、
 部屋の中央に段ボールが放り出されていました。
 中にはタオルが敷き詰められています。
 アルコールでひたひたになった脳みそでも、大体の事情は察することが出来ました。

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 19:39:03.03 ID:1sM9NdHQ0
 とりあえず、ずっと呆けているわけにもいかないので立ち上がります。

 キッチンの方へ移動すると、猫もそれにあわせて付いてきました。
 水を飲もうと蛇口を捻ると、猫はたんっと軽やかな音と共にシンクへ跳躍。
 私のコップを顔でどかし、蛇口からの水をべろべろと舌から貪り飲んでいます。
以下略



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