過去ログ - 小梅「ありがとうを物語にのせて」
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5: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:11:31.81 ID:Uojde39To
蝋燭すら付けてないうえ、さっきまでの明るい部屋とのギャップもあって、一瞬本当に真っ暗にしか見えなかった。その暗さは、アイドルになる前の自分の部屋、一人でずっと映画を見ていた頃の部屋にどこか似ていて。どこか懐かしい、安心できるような気持ちを私は抱えていた。
とはいえ、このままという訳にもいかない。テーブルの上に置いた懐中電灯を点けようと適当に腕を伸ばすと、柔らかくて暖かい感触がした。続いて暗闇の中に響く、ちょっと変わった悲鳴。
「にょ、にょわー!」
……どうやら間違えて、きらりさんの手首を握ってしまったらしい。
「こ、小梅です……おばけじゃ、ないよ……」
「……小梅ちゃん? びっくりしたにぃ! おばけさんだと思っちゃったぁ……!」
どこかほっとした雰囲気でしゃべりながら、きらりさんが手を繋いでくる。ひんやりして小さな私のそれとは違う、暖かくて大きい手の平の感触を味わいながら、「停電なの、かな……」と聞いてみる。
「うーん、多分そうだと思うよぉ? もうちょっとしたらPちゃんも帰ってくると思うし、静かに座って待ってるにぃ!」
ね、とぐいぐい引っ張られるのに従って、私は抱っこされるようにきらりさんの足の上に座り込む。柔らかさといい匂いに全身を包まれながら、私はきらりさんの顔(がある辺り)を見上げた。
「て、テーブルの上に……懐中電灯がある、よ?」
「そぅお? じゃあきらりが取ってみるにぃ☆」
言うが早いか、私を左腕でしっかりと抱き抱えたままきらりさんが右腕を伸ばす。少しゴソゴソしてから、「あったにぃ!」と懐中電灯を見つけだした。
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