45:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:05:11.40 ID:WwkYnpYs0
 そんなわけでわたし達は恋人がいたりいなかったりで渡り鳥みたいなところがあった。 
 だから、恋バナはそれなりに盛り上がるけれど今ひとつパッとせず、どっかにいい男いないかねぇーとか、発泡酒を飲みながら叫びつつ、実際のところ本気ではなくてお酒のつまみにしてるだけ。 
 だって別に男なんていなくて毎日楽しいし。まぁいいか、と思って暮らしていた。 
  
  
46:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:06:01.38 ID:WwkYnpYs0
 『で、なにをおねがいしたの? おしえてよ。別にいーじゃん、減るもんじゃないでしょ』 
  
 そう言ってわたしはりっちゃんに覆いかぶさった。 
 わたし達はずっと星空を眺めたまま話していたから、このときはじめて目と目が合った。次の瞬間、りっちゃんが目を瞑る。 
 なにがそんな恥ずかしいのか、大抵のこっぱずかしい恋バナもつまびらかに語り尽くしてきた間柄で何を恥ずかしがる必要があると言うのか。 
47:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:06:39.95 ID:WwkYnpYs0
 『わたしに言えないことなの?』 
  
 りっちゃんが瞼を開いた。たったそれだけのことなのに、どうしてかわたしは気圧されて思わず顔を上げた。 
 一瞬の隙を見逃さず、りっちゃんがわたしの両肩を掴み、ごろん、とふたりの身体が転がる。今度はわたしが下になった。 
  
48:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:07:34.17 ID:WwkYnpYs0
  
  
  
  
  
49:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:08:25.13 ID:WwkYnpYs0
  
  
  
  
  
50:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:09:32.89 ID:WwkYnpYs0
 ☆☆彡 
  
 りっちゃんのスマホが鳴り出したのは、もたもたしていたわたしがようやく靴紐を結び終えたタイミングだった。 
  
 ゆ〜い〜はぁ〜やくしろよぅ〜、なんて欠伸混じりの間抜け声を出していたりっちゃんは、ディスプレイを見て顔色を変えると「はい、田井中です」とハリのある声で名乗り、電話に出た。 
51:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:10:40.50 ID:WwkYnpYs0
 特別行きたいところなんてなかった。 
  
 そもそも、りっちゃんムギちゃんがいるから遊びに来たわけで、二人と一緒なら別にどこに行ったってよかったし、極端に言えば一日りっちゃんちに三人集まってダベってゲームやってるだけでも一向に構いやしなかった。 
 裏を返せば、りっちゃんがいない時点でどこに行っても満たされない。 
  
52:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:11:26.35 ID:WwkYnpYs0
 「高いねぇ…」 
  
 「そうねぇ…」 
  
 「りっちゃんち、ってどっちのほう?」 
53:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:12:34.61 ID:WwkYnpYs0
  
 タワーを出た後はムギちゃんにくっついてあちこち巡り、晩ごはんはムギちゃんが予約を入れてくれていたレストランへ。 
  
 予約の30分前に、りっちゃんからムギちゃん宛にLINE。 
 納品した商品を全品検品させられることになり、最終の新幹線に間に合うかどうかもわからない、とのこと。 
54:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:14:02.51 ID:WwkYnpYs0
 連れてきてもらったのはフレンチレストラン。 
 はじめて食する耳馴染みのない名前のメニューの数々は、上等すぎたのか、おいしいのかどうなのかよくわかんなかった。 
  
 りっちゃん、晩ごはん、ちゃんと食べられたのかな。 
 たこ焼き? おこのみ焼き? それも悪くないね。チープな味が恋しくなる。 
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