78:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:53:34.25 ID:WwkYnpYs0
スマホがちかちか光ってるのに気づいて手に取る。
りっちゃんからLINEだ。こんな時間に起きてるの? …間が悪いよ。こんなタイミングじゃ返事できないじゃん。…いつもいつも、りっちゃんにちゃんと返信できない。
「唯ちゃん、ごめん。いますぐ出てって。りっちゃんのところへ行って」
79:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:55:25.92 ID:WwkYnpYs0
「…わけわかんないよ」
「…まだ間に合うから」
「ちゃんとわかるように言ってよ」
80:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:56:25.50 ID:WwkYnpYs0
「……わかった」
無言。ムギちゃんの肩は震え続けている。
「今日は案内してくれてありがとう。久しぶりに二人で遊べて、すっごく楽しかったよ」
81:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:57:21.23 ID:WwkYnpYs0
暗がりのなか、手探りで着替えをすませ、枕元に置いておいたリュックを背負い、ムギちゃんの部屋を出た。
スマホを取り出す。電池残量はもう一桁だ。LINEを開いて文字を打つ出す。
わたしが返事すべきこと、りっちゃんに聞きたいことは……
“どうして”
82:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:58:53.00 ID:WwkYnpYs0
やっぱり電話をかけようか、うまく文字にまとめられなくても、声に出せば伝えれるかもしれない。
でもこんな時間にこんなところで電話したら、ここに住んでる人たちに迷惑だ。
せめて下まで降りて外で電話しようか、と思ったら、あ……エレベーター壊れてるんだった。7階から歩いて降りるのか……ぐぇぇ…
第一、こんなに夜遅く、りっちゃんはまだ起きてるだろうか。もう寝てるかもしれない。
83:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:59:59.29 ID:WwkYnpYs0
わたしはダッシュで階段を駆け下りた。
7階6階5階4階3階……息が切れる、膝がガクガク、太ももはプルプル。
踏み外したら大ケガだ。それでもかまうもんかと一段飛ばし。
84:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 20:00:51.29 ID:WwkYnpYs0
「…出ると思わなかった」
85:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 20:02:02.76 ID:WwkYnpYs0
薄紫色の空にかかる雲。ほとんど星なんて見えない。
あの日ふたり見た星空とは大違いだ。
しばらく黙ったまま、明けつつある空を見つめていた。
86:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 20:04:47.75 ID:WwkYnpYs0
どれだけ無言の時間が続いても、りっちゃんは電話を切らなかった。
そうだ。りっちゃんは、わたしを待っていてくれてた。いつだって待ってくれてた。
わたしが何かを伝えようとするのを。返事をするのを。
87:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 20:06:32.64 ID:WwkYnpYs0
「……この三年間一切男っ気ないし。もう来年30歳なのにどーしてくれんの。
とりあえず付き合うとかいうレベルでも男に興味なくなっちゃったんだけど。
ねぇ、どうしてかわかる? りっちゃんのせいだよ。りっちゃんがあんなことするからだよ。
そのくせりっちゃんが結婚するとか、なに? なんなの? ふざけてんの? バカにしてるでしょ」
88:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 20:07:34.27 ID:WwkYnpYs0
沈黙。
受話器の向こうからりっちゃんの呼吸だけが聞こえて来る。
呼吸がだいぶ落ち着いてきた。
「…ごめん」
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