過去ログ - P「頼む、ほたるを助けてくれ!」茄子「嫌です」
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◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:08:39.95 ID:nKrEHmuR0
ほたるちゃんと私は親友だった。
中学生の頃の私は、環境や才能に恵まれ自分が他人より優れた人間だと思い込んでいた。普通の才能ならまだしも、幸運を引き寄せる才能であったから特に努力することなく成功を繰り返し、それが当たり前の人生だった。
27
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:10:28.93 ID:nKrEHmuR0
私の家系にも並外れた幸運を持った人は何人かいたが、私はその中でも飛びぬけていたらしい。
大抵のことに強運なだけでなく自分の最も強い望みに対して、物理法則を覆すほどの幸運が発揮された。
当時の私は自分のことが他の何よりも大切だったからどんな無茶をしてもなんとかなった。
28
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:11:25.85 ID:nKrEHmuR0
努力を必要としない才能に恵まれた私は、横柄で高圧的な態度を回りにとっていた。当然私の周りには人が寄り付かなかったし、私自身もそれが普通なのだと感じていた。
29
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◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:12:35.35 ID:nKrEHmuR0
ほたるちゃんと出会ったのは私が中学生のとき遮断機の下りた踏切の中だ。朝から小学生の死体なんて見たくない、私はそんな理由からほたるちゃんを助けた。
それ以来、あの子は私にひどく懐いてきた。私の身勝手な態度に無償の好意を向けてくれるほたるちゃんにくっつかれている内、彼女は私にとって初めての親友となった、
以下略
30
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◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:14:47.22 ID:nKrEHmuR0
私とほたるちゃんの間に溝が出来たのは私が中学を卒業する直前、
ほたるちゃんの家庭が転勤で引っ越すことになった日だ。
その日、車に乗ろうとするほたるちゃんを追いかけて私は車道に飛び出し、さも当然のように私は車に撥ねられた。
31
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:17:12.08 ID:nKrEHmuR0
私はこのときまで、自分の置かれている状況に気が付いていなかった。感じたことのない激痛に体を苛まれ、私は病院へと搬送された。
単純な話だ。子供心ながら「ほたるちゃんと別れるのは死んでも嫌だ」と思ってしまったから。自分の身よりも強い望みを持ってしまったから、
私は人生で初の大怪我を負い、親友との間に溝を作ってしまった。
以下略
32
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:18:43.13 ID:nKrEHmuR0
硬い地面の上で目が覚める。Pは切迫した表情をしていた。
P「茄子!気が付いたか。もうすぐ救急車が来るからな、死ぬんじゃないぞ!」
上半身を抱きかかえるPの温かさと、自分の血の生暖かさで意識が朦朧とする。
以下略
33
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:22:14.80 ID:nKrEHmuR0
それは自分の傷の深さというよりは、ほたるちゃんの心が追い詰められているからだろう。この子の目の前で3度目の事故が起きてしまった。
しかもその内の2回は私が被害者だ。まず間違いなくここから不幸が重なるだろう。
ほたるちゃんの不幸も手の付けられないレベルになってきている。このままでは彼女は2度と立ち直れない。
以下略
34
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:23:17.03 ID:nKrEHmuR0
ほたる「ごめん…なさい。茄子ちゃんごめんなさい…!」
自分をひたすら責め立てるほたるちゃんを見て私は一つの決心をした。
以下略
35
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:24:47.46 ID:nKrEHmuR0
体質を移し替えるなんで奇跡みたいな話だけど、
私の一番の望みが「ほたるちゃんとPの幸せ」で、
私にとっての不幸が「Pとほたるちゃんを悲しませること」で、
以下略
36
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:25:53.79 ID:nKrEHmuR0
茄子「もし…なんて失礼かな」
この子が私を好いていてくれるなんて分かりきっている。
一緒に過ごしてあんなに笑い、私のためにこんなに涙を流してくれている。それで充分だ。
以下略
37
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:27:19.56 ID:nKrEHmuR0
茄子「ほたるちゃん、今日はあなたの人生で一番辛い日になるかもしれない。だけど強く生きて。
あなたが立ち直って幸せになってくれるなら、私は世界で一番の幸せ者なんだから」
ほたる「死んじゃ…嫌だよ…」
以下略
38
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:28:47.42 ID:nKrEHmuR0
P「茄子…」
茄子「Pさん、この子を支えてあげてください。理不尽な不幸なんてもうこれっきりです。これからは私の幸運が二人にずっと付いているんですから」
P「何…言ってるんだ!お前の幸運なんかじゃなくて、お前が俺たちと一緒に生きるんだよ!」
以下略
39
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:31:17.34 ID:nKrEHmuR0
茄子「私、Pさんのことずっと好きだったんですよ?そんな私から最後のお願いです。…私の分までほたるちゃんを幸せにしてあげてください。」
P「茄子、俺もお前のこと____」
突然、体の底に濃い靄が入りこんだような感覚。直後に五感が消失した。
以下略
40
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:32:03.29 ID:nKrEHmuR0
P「茄子!?おい、茄子」
ほたる「茄子ちゃん…!茄子お姉ちゃん!」
不幸にも到着の遅れた救急車のサイレンが、赤い夕暮れの中で空しく響いていた。
以下略
41
:
◆Dr.jM/UHkk
[saga]
2016/12/03(土) 22:35:53.18 ID:nKrEHmuR0
以上となります。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
42
:
名無しNIPPER
[sage]
2016/12/03(土) 22:43:56.15 ID:DTS8KMwA0
第一章読了
つづきはよ
43
:
名無しNIPPER
[sage]
2016/12/03(土) 23:14:15.91 ID:hZb5upw2o
乙
救いは…ないか
44
:
名無しNIPPER
[sage]
2016/12/03(土) 23:49:10.48 ID:6/2dUKTo0
おいおい…医者みたいな酉つけといてそりゃないだろ?
45
:
名無しNIPPER
[sage]
2016/12/04(日) 17:16:00.64 ID:F3LZVqOU0
つらすぎる……
乙
46
:
名無しNIPPER
[sage]
2016/12/04(日) 19:05:53.29 ID:Yp1k9iuiO
終わり…だと?
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