過去ログ - 卯月「…ここ…どこ…?」
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28: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/07(水) 22:37:45.40 ID:+F7bQ51XO
「…」

「…」

あれからひとしきり叫び、ひとしきり泣き、喚いた。

それ程までにこのカズマという少年の存在が卯月にとって大きかったということだろう。

未央もこの時ばかりはどうやって声をかけて良いものか、分からなかった。

ただ、卯月を抱き締め、少しでも抑える事しか出来ない。

カズマという少年の血で服は汚れ、臭いもするが、それでも未央は卯月の元から離れなかった。

「…」

あれから卯月の奇妙な格好は光に包まれ、元の姿に戻った。

あれは一体、何だったのか。

どうして、こんな事になったのか。

何故、ここに彼女がいるのか。

聞きたいことは山ほどあるが、今の卯月の様子ではまともな返答は期待出来そうもない。

「…」

だが、このままここに居ても、何も変化は無い。

「…しまむー…」

未央は卯月に声をかけ、立ち上がらせる。

本来こういう時は警察を呼び、事情を説明するのが正解なのだが。

携帯も無く、卯月も恐らく持っていないこの状況では、それは出来ない。

とはいえ、彼をこの土の下に埋める、というのも流石に抵抗がある。

悪い事をしたわけではないが、どうにも抵抗があるのだ。

「…行こっか?」

仕方なく未央が取った行動は、そのまま寝かせておく事。

それもまた、道徳に反することなのかもしれないが。

「…」

だが、卯月は中々その場を動いてくれない。

「しまむー…このままじゃ私達二人とも疲れちゃうよ。何処か休める所、探そ?」

「…」

「…ね?」

早くこの場から遠ざかりたかったというのが、彼女の本心で。

仮に今、ここに誰かが来たとしてあらぬ疑いをかけられたとしたら、恐らくかなり面倒な事になるだろうという保身的な考えも、あった。

「…あの…」

「…後で聞くから、さ…」

「…」

彼を置いていきたくないのか、弱々しい力ではあるが抵抗する。

だが、ここにいても何も変わることはないと彼女自身も承知してはいる。

「…」

やがて卯月は、未央に連れられるままその場を後にした。


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